「キャラ設定がぶっ飛んでいるマンガ」ベスト4【あの書店に聞く!!　わんだ～らんどなんば店】

あの書店に聞く!!ケンガンアシュラサンドロビッチ・ヤバコだろめおんドリフターズ増田英二実は私は尚村透平野耕太河本ほむら賭ケグルイ

2014/11/27

大阪を代表するマンガ専門書店・わんだ～らんどなんば店。マンガから関連書籍まで、膨大な量がそろう豊富な品ぞろえに加えて、定期的にイベントも開催されており、大阪のマンガ好きならだれもが知る場所だ。

今回は、そんなわんだ～らんどなんば店の店長である麻野昌三さんに、没入感の高い、キャラ設定がぶっ飛んだマンガを4作品チョイスしていただいた。

わんだ～らんど　なんば店イチオシの4冊!!

『ドリフターズ』平野耕太

『ドリフターズ』第4巻
平野耕太　少年画報社　\571+税
（2014年10月27日発売）

死の間際、異世界へ飛ばされた古今東西の英雄＜ドリフターズ＞による戦いを描く本作。根強いファンが多い平野耕太先生の、異世界国盗り物語です。

まず主役が島津豊久というだけでよだれが出ますが、見どころは織田信長。ギャグにシリアスに大忙しです。
かつて生きた時代の戦略・戦術を駆使し戦を進めるなか、サンダンス・キッドのガトリング銃を見ての素直なひと言。そして、安倍晴明率いる術師が遠隔通信ができる玉を使ったときの驚きの表情……もう素敵です、ノブさん。

異世界に来たぐらいでは己の生き方を変えないドリフたちが非常にかっこいい！　もちろん、口に出して言いたくなるような痺れるセリフまわしは健在ですし、平野先生の骨太な絵によって歴史上の人物が「その後」を生きる姿はワクワクします。

登場人物の歴史を知れば倍楽しい。4巻の島津豊久と土方歳三のやり取りも、歴史好きならニヤニヤしてしまうはず。
非常にオタク層に受けのいいマンガですが、もっともっと多くの人に読んでほしい作品ですね。

『ケンガンアシュラ』サンドロビッチ・ヤバ子（作）だろめおん（画）

『ケンガンアシュラ』第10巻
サンドロビッチ・ヤバ子（作）だろめおん（画）　小学館　\571+税
（2014年10月17日発売）

格闘技好きなら、一度は夢想する「異種格闘技戦」。しかし多くのマンガでは、みな同じ総合スタイルのバトルばかりで、「異種」の意味ないやないかいっ！とツッコんだ方も多いはず……｡
このマンガでは本当の「異種格闘技戦」がみられます！

いわゆるリアル系ではない“マンガ格闘技”で、そのラインナップはプロレス、相撲、柔術、逮捕術、ラウェイときて、はては暗殺術（数種）、バリツ、バレエ、陸上競技まで！
「どう戦うんだよ!?」から「なるほどなー」までが、非常にうまくマンガ的に落としこまれていて楽しいです。

描かれるキャラクターたちがいきいきとしており、格闘マンガに必要な「熱量」はここ最近の格闘技ものではピカイチだと思います。
あ、男性読者はカバー裏も楽しんでくださいね。

『実は私は』増田英二

『実は私は』第8巻
増田英二　秋田書店　\419+税
（2014年9月8日発売）

嘘や隠し事ができない主人公・黒峰朝日は、好きになったクラスメイト・白神葉子がじつはは吸血鬼だと知ってしまいます。
好きな彼女の秘密を守るために奮闘する朝日。そんな彼のまわりに集まってくる人たちも「実は……」という異種ラブコメものです。

登場人物（主にヒロイン)たちが人外の存在で、宇宙人、狼男、悪魔などが続々と登場します。
でも、そんな設定を忘れそうなくらい内容はチョイアホ。恋と友情の間で揺れ動いたりもしますが、基本みんなアホカワイイ。見ていて楽しいです。

『賭ケグルイ』河本ほむら（作）尚村透（画）

『賭ケグルイ』第1巻
河本ほむら（作）尚村透（画）スクウェア・エニックス　\581+税
（2014年10月22日発売）

本作の舞台である私立百花王学園は、将来財界の有力者になる子女たちが通うエリート校。
人を使う人間に求められるのは勉強や運動よりも、駆け引きや読唇術、そして勝負強さ！……というわけで、ギャンブルを推奨どころか強要し、敗者は家畜扱いされるという狂った学園が爆誕します。

まず表紙が怖いので、「ああ、ホラーマンガだ。どんどん人が殺されていくんだ……。」と勘違いしそうになりますが、そんなことはありません！
転校してきた清楚な美少女・蛇喰夢子のギャンブル中の目が、ちょっとどころではなくだいぶイッてしまっているだけです。

「絶対に勝つ勝負」も「絶対に負ける勝負」も興味がないと言い放ち、ただただリスクを背負った真剣勝負に魅入られている少女は、恐ろしくも美しい。ギャンブルマンガで勝負のゆくえよりも、賭けが成立する瞬間の方がクライマックスっていうのはけっこう新しい気がします。
一味違うギャンブルマンガをお求めの方は、ぜひチェックを！