『ケンガンアシュラ』第10巻
サンドロビッチ・ヤバ子(作)だろめおん(画) 小学館 \571+税
(2014年10月17日発売)
『ケンガンアシュラ』は、小学館が運営するWEBマンガサイト「裏サンデー」にて連載している格闘マンガ。
作画のだろめおんは、「ニコニコ静画」で連載した『けちゃっぷ忍者』に続いて、『ケンガンアシュラ』が2作目となる。新人であることは間違いないが、その画力たるやもはやベテランの域。
格闘マンガに必要な迫力の絵と動き、そして独自の表現力を持ちあわせている。動きに関してもマンガならではのデフォルメとリアルな動きの融合が素晴らしく、ただただ見入ってしまう。
舞台は、企業間の争いを企業が雇った闘技者の勝敗にて決着をつける「拳願試合」が人知れず行われた世界。大企業・乃木グループ、乃木出版のダメ社員、山下一夫が闘技者・十鬼蛇王馬(ときたおうま)の世話係に任命される。
最新10巻では、拳願会会長の座を争うトーナメント「拳願絶命トーナメント」のBブロック1回戦の最終試合、相撲vs.プロレスの壮絶な戦いが繰り広げられる。
巻末にはカプコンの格闘ゲーム『ストリートファイターⅣ』とのコラボマンガを掲載。「週刊少年サンデー」に掲載されていたので、本編よりもこちらのコラボ作品のほうを先に知った人も多いかもしれない。
王馬の対戦相手はリュウ。このリュウの描写がまた絶品。ゲームでの動きを踏襲しつつも、『ケンガンアシュラ』の世界観のなかにすっぽりと入り込ませている。中足払いの描写は、特に抜群。
ちなみに10巻に収録されているコラボは後編。前編は9巻に収録されているので、9巻も読まずにはいられないだろう。
<文・岡安学>
デジタルモノなどのガジェット系を中心に雑誌やWebで活動するフリーライター。元ゲーム誌編集者で、ゲームやアニメ、マンガなどのメディアも守備範囲。ソフトとハードのどちらもこなす。現在、生活総合情報サイト「オールアバウト」にてデジカメのガイドも務める。