モブサイコ100 6
ONE 小学館 ¥596
(2014年5月16日発売)
少年マンガのいわゆる「お約束」を換骨奪胎するという見事なテクニックと、いい感じに読者を脱力させる展開・絵柄が魅力の本作。だが、「爪編」に入ってからは意外と「ガチ」な少年マンガ的展開に!
「WEBコミックで無料だから」というところで、なんとなく読者に許容されていた感もある画力も、ここまでくれば立派な独自性。
とくに、思春期特有の心情を描いた本作の内容には、著者の「クラスのマンガがうまいヤツ」的テイストの作画が妙にマッチしていてクセになるのだ。第6巻で「爪編」が一旦区切りとなる本作だが、そのクライマックスの意外な着地点はさすがといったところ。
そして主人公・モブに彼女ができるというまさかの短編エピソードも、やはりマンガにある「お約束」をメタ的に踏まえたうえで、うっかりすると本当に感動してしまうお話に仕上がっているから油断ならない。「爪編」後の展開も、要チェックだ。
<文・大黒秀一>
主に『東映ヒーローMAX』などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。