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11月9日は発明家の日 『キテレツ大百科』を読もう!【きょうのマンガ】

2014/11/09


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藤子・F・不二雄大全集『キテレツ大百科』第1巻
藤子・F・不二雄 小学館 \1,400+税


ちょうど100年前の今日。オーストラリア・ウィーンにてヘディ・ラマーが誕生した。
美しく成長を遂げた彼女は女優として成功。19歳のときには映画史上初めてスクリーンで全裸を披露して、物議を醸すことになる。

そんな彼女にはもうひとつの顔が。
最初に結婚した旦那(兵器製造業者)の影響で無線の知識を得たヘディは、作曲家のジョージ・アンタイルとの共同開発で周波数ホッピング方式のスペクトラム拡散に関する特許を取得。これが現在の携帯電話、無線LANに応用されているのだ。

うーん、女優にして発明家ってすごいよなぁ。
ただし、女性に対する偏見があった時代なので、特許を取得するまでには紆余曲折あったそうだ。ちなみに取得年は1942年。ヘディが28歳の年である。
結局、00年に85歳で没したヘディが、特許によって莫大な恩恵を受けることはなかったとか。いずれにしても数奇な運命をたどった人物であることはたしかだ。
オーストラリアやドイツではヘディの功績を称えて、彼女の誕生日である11月9日を「発明家の日」に制定している。

さて、発明家が主人公のマンガでもっとも有名なタイトルといえば、ごぞんじ藤子・F・不二雄の『キテレツ大百科』。時系列的には『ドラえもん』と同時期、74年から77年に連載された作品だ。
掲載紙「こどもの光」が農協系出版社の家の光協会の発行であったことから、普通の書店では入手できず、連載当時はマイナー作品扱いであった。
しかし、連載終了から11年後の88年にアニメ化されて大ヒット。アニメ版は96年まで続く長寿番組となった。ただし原作は40話しか残されておらず、大半はオリジナルストーリーである。

本作が『ドラえもん』と一線を画す内容なのは、主人公(木手英一/通称・キテレツ)がグータラで受動的な性格ではなく、先祖のキテレツ斎が遺した「奇天烈大百科」を参考にしながら、すばらしい集中力で発明道具を生みだし、さまざまなトラブルを自分の力で解決する点である。立ち位置的にドラえもんと似ているコロ助だが、あくまで助手にすぎないのだ。

それにしても、いま読み返すとコロ助のデザインが斬新で驚かされる。
頭に使用されているのは縦線の入ったゴムマリ、眼球は常に斜視気味、そのアンバランスさが、ありあわせのガラクタで作ったロボットというキャラクターを際立たせている。キュートなアニメ版のコロ助とは違って、不気味な雰囲気すら漂うのだ。

さらりとした最終回(「さらば大百科」)も素敵。
「奇天烈大百科」をママに捨てられてしまったキテレツが躍起になって探しまわるのだが、救出することは叶わず……。最後はなぜか、キテレツが勉強机に向かっている。
自殺でもしてはいまいかと心配していたコロ助は、その光景を見て「キテレツが勉強しているナリ! 頭がおかしくなったナリ!」と叫ぶのだが、とうのキテレツは大百科のことなどさっさと諦めていて「これからはキテレツ斎さまにたよらず、自分の力で立派な発明をしていきたいと思うんだ」「それにはやはり勉強しなくちゃな」と超前向き発言。
カッコイイ~。のび太とはやっぱり違いますね。



<文・奈良崎コロスケ>
筆名はコロ助が由来ではなく、本名の“こうすけ“→“ころすけ”からきております。中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。
「ドキュメント毎日くん」

単行本情報

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