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『ヴィンランド・サガ』第15巻 幸村誠 【日刊マンガガイド】

2014/11/14


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『ヴィンランド・サガ』第15巻
幸村誠 講談社 \590+税
(2014年10月23日発売)


ときは11世紀、戦闘民族ヴァイキングたちが活躍したヨーロッパ周辺。ヴァイキングの血を引く主人公・トルフィンと、激動の時代を生きる人々の生き様を描く人気作だ。

長い奴隷生活に別れを告げ、未開の大陸・ヴィンランドへ平和の国を築くための航海を前にしたトルフィンは、久々にアイスランドの故郷の村へと帰還。固い決意はあるものの、まったくの一文なしなトルフィンは、亡き父トールズとも縁深い鉄鎖のハーフダンに資金提供を求める。
そんななか、レイフの義理の妹である男まさりのグズリーズが、ハーフダンの息子・シグルドとの婚礼を前にして、トルフィン一行の前に現れて……。

奴隷生活を経て、戦場を駆け抜けた過去と決別したトルフィンの新たな戦いは、いままでの戦場での死闘とはまったく別もの。
第1巻で逃亡奴隷をめぐりトールズと対峙した以来の再登場となるハーフダンは、ただの冷血漢ではなく、アイスランドの厳しい土地をたくましく生き抜いてきた男としての面が垣間見え、戦場で殺し合うヴァイキングとはまた違う戦士としての生き様を見ることができる。そんなハーフダンと、自らの命しか持ち合わせがないトルフィンの交渉シーンは、本巻の見どころのひとつだろう。
また、ハーフダンに顔は激似ながらもちょっと抜けているシグルドや、「女は家を守るもの」という昔ながらの風習を嫌い、そとの世界への憧れを捨てきれないグズリーズといった新キャラクターたちも、魅力十分。

新たな面々も登場するなかで、ようやくヴィンランドへの第一歩を踏み出したトルフィン一行。だが、まだまだ果てしなく長い旅路が彼らを待ち受けている!



<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
Twitter:@gakuton

単行本情報

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