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『文豪ストレイドッグス』第7巻 朝霧カフカ(作) 春河35(画) 【日刊マンガガイド】

2015/06/01


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『文豪ストレイドッグス』第7巻
朝霧カフカ(作) 春河35(画) KADOKAWA \580+税
(2015年5月2日発売)


【問い】『文豪ストレイドッグス』について30字以内で述べよ。
【回答】もう1つの横浜を舞台にした、文豪異能力バトルアクション。(28字)

国語の教科書などでおなじみの文豪たちが登場する作品なので、ちょっと国語の問題風に要約してみました。でも、28字では伝わりにくいと思うので、補足します。

孤児院を追われた中島敦は、太宰治と出会い彼の所属する「武装探偵社」に入社する。武装探偵社とは、軍や警察に頼れない危険な依頼を専門にする探偵集団で、国木田独歩、与謝野晶子、宮沢賢治といった社員の多くが「能力者」であった。
一方、横浜の街には港を縄張りとする「ポートマフィア」なる暴力組織があり、その構成員にも芥川龍之介、中原中也、泉鏡花、梶井基次郎らの能力者がいる。
探偵社対ポートマフィアが全面衝突するなか、フィッツジェラルドが率いる北米の能力者集団「組合」(ギルド)が横浜に現れる。こうして武装探偵社、ポートマフィア、ギルドの三つ巴の闘いが始まった。

各登場人物の能力は、その名を借りた文豪の作品にちなんだものとなっている。
例えば、中島敦には「月下獣」という虎に変身する能力があるが、これは短編「山月記」にちなんだものであろう。
芥川龍之介の能力は「羅生門」で、空間を含めてあらゆる物を喰らう黒獣を操る。そして、太宰治には、手で触れた能力を無効化する「人間失格」なる力がある、といった具合である。

ギルドのメンバーも同様で、たとえばジョン・スタインベックの能力は「怒りの葡萄」で、H・P・ラヴクラフトは「旧支配者」なる異能を持っている。
こうした能力のなかで、一番傑作なのは武装探偵社・江戸川乱歩の「超推理」だろう。本人は異能力だと誤解しているのだが、じつは抜群に推理力がすぐれているだけの普通人だという設定はすごい。 さらにいえば、中島敦は生真面目、宮沢賢治は天真爛漫、そして太宰治は隙あらば自殺をしようとする――と文豪たちのイメージを踏まえたキャラクターの造形も心憎い。

こうした能力に、知略を組み合わせながら文豪たちはしのぎを削るのだが、大富豪であるフィッツジェラルドが束ねる組合は資本力・政治力で優位性を持ち、ポートマフィアは強烈な戦闘力を誇る。そうしたなか劣勢な立場にある武装探偵社は「奇策」により局面を打開しようとする。
それが吉と出るか否かは、第8巻のお楽しみである。

ちなみに、このように文豪がわさわさと登場する作品は、現実の小説家たちの琴線に触れるのか第2巻では綾辻行人が、第3巻では京極夏彦が、そして第4巻ではピースの又吉直樹が帯に推薦文を寄せていた。



<文・廣澤吉泰>
ミステリマンガ研究家。「ミステリマガジン」(早川書房)にてミステリコミック評担当(隔月)。『本格ミステリベスト10』(原書房)にてミステリコミックの年間レビューを担当。最近では「名探偵コナンMOOK 探偵少女」(小学館)にコラムを執筆。

単行本情報

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