『プリキュアコレクション Go!プリンセスプリキュア』第1巻
東堂いづみ（作） 上北ふたご（画） 講談社 ￥950+税
（2015年8月6日発売）

東映アニメーションが誇る変身戦闘少女系キッズアニメの人気作「プリキュア」シリーズ。
すでに12作目・10チーム目まで代を重ねているが、これはそのまま少女マンガ誌「なかよし」系列で掲載されてきたコミカライズの歴史でもある。

アニメーター畑の出である漫画家姉妹ユニット・上北ふたごが描くマンガ版プリキュアは、時に作品全体を巧みにまとめたダイジェストであり、またある時は戦いのない日常をオリジナルエピソードで切り出す補完作でもあり、ファンから高い評価を集めてきた。

初期の単行本は入手困難で未収録話も多かったが、昨年「プリキュアコレクション」と銘打った復刻完全版で歴代が再刊行。
それ以降の新刊もコレクションシリーズからの発売となり、今は全作きれいに整理された形で入手可能になっている。そうして、最新の『Go!プリンセスプリキュア』マンガ版へ至った次第だ。

様々な夢を抱えた未来の淑女紳士が通う学園で「つよく、やさしく、美しく」を体現する生き方＝真のプリンセスを目指す少女たちがプリキュアに変身し、人の夢をむしばむ闇に立ち向かう……という本作。
主人公・春野はるかが、お嬢さまで生徒会長の海藤みなみ、現役JCモデルの天ノ川きららとプリキュア仲間となり絆を育む様子は、アニメ本編をふまえつつ、さらに周囲の一般生徒が注目する視点を強調して、3人の親密さを特別な秘めごとのように色づけているのが特徴だ。

また、トリオ単位だけでなく、はるかが枕投げ大会できまじめな海藤みなみの心をやわらげる話や、トップモデルを目指す天ノ川きららがはるかに励まされる話など、個別の関係もしっかりおさえてある。
プリキュア少女たちの友愛をねっとり濃厚に掘り下げることで定評のある上北先生の手腕が今回もいかんなく発揮されていると言っていい。

第1巻では敵勢力のプリンセスであるトワイライトが颯爽と登場したところまでが収録。あとは描き下ろしの新作読み切りがついている。
読み切りははるかのルームメイト・ゆいちゃんが描いた絵本の登場人物にはるかたちの姿をあてて物語る内容で、人魚姫みなみと織姫きららの麗しい装束がみどころだ。

アニメ本編で活躍中の4人目のプリキュアが参入するのは次巻ということで、楽しみに待つことにしよう。

＜文・宮本直毅＞
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』（総合科学出版）。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7