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『おはよう!スパンク なかよし60周年記念版』第1巻 雪室俊一(作) たかなし▽しずえ(画) 【日刊マンガガイド】

2015/09/02


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『おはよう!スパンク なかよし60周年記念版』第1巻
雪室俊一(作) たかなし▽しずえ(画) 講談社 ¥490+税
(2015年8月6日発売)


「なかよし」創刊60周年のアニバーサリー企画として、懐かしい作品が続々復刊。その一環として完全復刻された『おはよう!スパンク』は、70年代後期の名作である。アニメ化もされて人気沸騰、当時の少女たちはこぞってスパンクのグッズを買い集めたものだ。
本作は、スパンクというユーモラスなキャラクターを充分に活かしつつ、主人公・愛子のかかえる寂しさや、ほのかな恋をつづるハートウォーミングな物語。

海のある町に住む愛子は、ママとの2人暮らしだ。パパはヨットに乗ったまま消息を絶ち、行方不明のままなのである。
そんな愛子の心のすきまを埋める愛犬のパピーが事故で命を落としてしまい……悲しみにくれる彼女のもとに、風変わりな犬・スパンクが現れて!?

スパンクはトボけたルックスのドジ犬だけど、愛子のことが大好きで、お役に立とうと一生懸命。
にまにま笑ったり、おどけたり、いじけたりコロコロ変わる表情の一つひとつが味わい深い。そして、なんといっても愛子のベッドにもぐりこんでクークー眠る姿の愛らしいこと。

そういえばスパンクはほぼ2足歩行しているのだが、まったく違和感を感じさせないのがすごい。
このデザインの完成度の高さは、スヌーピーに匹敵するといっても過言ではないかもしれない!

アニメはコミカルな色合いがやや強かったが、原作はちょっとセンチメンタルなムードが魅力。
70年代「なかよし」における“メルヘンちっく&おとめちっく”を担った、たかなし▽しずえの持ち味がすみずみまで発揮された作品である。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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