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『雪花の虎』第1巻 東村アキコ 【日刊マンガガイド】

2015/10/20


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『雪花の虎』


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『雪花の虎』第1巻
東村アキコ 小学館 ¥694+税
(2015年9月11日発売)


今年3月に完結した自叙伝的作品『かくかくしかじか』では、骨太な人間ドラマを感情そのままに紙へ叩きつけたような凄みあふれる筆致で描き、これまでにない幅広い読者層を唸らせた東村アキコ。 それだけに、もちろん『東京タラレバ娘』もサイコーなんだけど、もっとスケールのでかい作品もイケるんじゃ……と秘かに期待を寄せていた人は、きっと多いはず。

そんなわけで、まさに“満を持して”な感じで放たれた最新作は「歴史モノ」。
歴史マニアの間では有名らしい「上杉謙信は女だった」という俗説をもとに、膨大な資料を調べ、現地取材を重ねながら、マンガならではの大胆なフィクションを盛りこみつつ、「女・謙信」の波乱万丈の人生に迫ってゆく。

とにかくマンガファンならば、その設定を聞いただけで「こりゃ東村版・ベルばらだわ……!」とワクワクせずにいられないワケですが、実際読んでみると、男勝りの聡明・快活・大胆な謙信の姿が、「虎千代」と呼ばれた、まだあどけない幼少期から細やかなエピソードや生活ディティールとともに、丹念にいきいきと描かれていて、予備知識がなくとも、ぐいぐいと引きこまれる。
(念のため、物語冒頭にちょっとした歴史解説があるが、そういうのめんどい~という方のために、ジャージ姿の東村先生がだべるワープゾーンもあり。これまた楽しい!)

謙信の父・長尾為景に頼りない兄の晴景、謙信が5年間の禅の修業を務めた菩提寺の名僧・天室光育と弟子の宗謙、そしてのちに宿命のライバルとなる武田信玄など、謙信を取り巻く人々もそれぞれ魅力的なキャラクタとして描かれていて、現時点ではまだまだ序章段階ながら、彼らの間にどんなドラマが生まれてゆくのか、今からドキドキ。(そういう意味では、歴史に疎い人のほうがより楽しめるかも!?)
「謙信女説」を裏付ける、様々な根拠も東村先生流に随所にわかりやすく散りばめられているので、トリビア的楽しさもあり。

願わくば、あまり先を急がず、じっくりと腰を据えて挑んでいただきたい。
そして超気が早すぎですが、大ヒット連載となった暁には、ぜひ満島ひかりあたり主演で大河ドラマ化を希望!



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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