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『書かずの753』第2巻 相場英雄(作) 中山昌亮(画) 【日刊マンガガイド】

2016/03/04


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『書かずの753』


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『書かずの753』第2巻
相場英雄(作) 中山昌亮(画) 小学館 ¥552+税
(2016年1月29日発売)


新聞は起きた事件を、そのまま書き、伝えるのが仕事。
しかし冴えない中年記者・七五三(なごみ)は、考えたあげく、書かない。

少しでも売れる記事を書く、というのは新聞では当たり前のこと。
ときには真実をねじまげ、超えてしまうことすらある。たとえ悪気がなくてもだ。
話題になる記事は、ときに人を傷つけることがある。

大手新聞社で働いていたエリート記者の戸塚は、売れる記事を書こうとする優秀な記者。
しかし彼女が異動した、北海道ローカルの地方新聞社で働く七五三は、必ずしも売れる記事を第一にしない。
たとえば大雪の日、人が食いつきそうな大雪にかかわる政治的ニュースはスルーした。
彼が書いたのは避難所情報だった。

ある時は、地域の畑でジャガイモを掘っていた。きわめて普通のジャガイモだ。
イモとともに彼が持ってきたのは福島新聞の転載。なのにトップ記事。戸塚はそりゃあ、おもしろくない。

じつは七五三が追っていたのは、福島から引っ越し、北海道でジャガイモをつくっている一家だった。
彼は福島を取材していた。福島はいまだ復興できていない。
荒地と化した写真を載せれば、話題は奪えるだろう。
だが、道民に、北海道に住む福島出身の人に伝えたいのは、そんな画像じゃない。かつての故郷福島の姿だ。
だから彼は、考えぬいた末、地元紙の転載という手段を取った。すべてを知ったうえで、書かなかったのだ。

作中で「記者」という言葉を問うシーンがある。編集長はこう言う。
「“記録する者”……そういう意味もあると思わねぇか?」

最新のものを追い続けるだけでなく、あえていったん足を止める。
七五三のいる新聞社は、人の心に残るものをじっくり選択し、記録していく。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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