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『キミノトナリ ―闇都市伝説―』第3巻 亜月亮 【日刊マンガガイド】

2016/06/04


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『キミノトナリ ―闇都市伝説―』


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『キミノトナリ ―闇都市伝説―』第3巻
亜月亮 秋田書店 ¥429+税
(2016年5月16日発売)


美術室の笑いだす肖像画、ひとりでに動きだすフランス人形、そして払っても払っても肩に乗ってくる小さいおっさん。
これはそんな不思議が見えてしまう高校生と、前世の記憶がある幼稚園児のコンビが謎を解決していくコミカルホラー。人気のシリーズも、ついに今巻で完結だ。

主人公の英樹(えいき)は、ほかの人には見えないものが見えてしまうがゆえに、様々な事件に巻き込まれてしまう。 そんな英樹の相棒が、花鈴(かりん)という女の子だ。
幼稚園児だが15歳で亡くなった前世の記憶を持つため、プラスすると英樹より年上という大人びたツンデレ――というよりはもっぱらツンのみ少女。
加えて、あまりにも脳天気なために怪異が避けて通る花鈴の兄の晃斗や、自らの妄想を実体化してしまうという女子高生・加藤など、個性が豊かすぎるキャラクターも盛りだくさん。
英樹はえてして被害者になるのだが、花鈴はじめ周囲の助けもあって、事件は基本明るい方向で解決する。 ホラーといえど怖いばかりでなく、安心して笑って読めることうけあいだ。

今巻は最終巻らしくストーリーはさらにバラエティに富んでいて、ずっと謎だった英樹の両親のエピソードなども楽しめる。
基本1話完結の読み切りだが、今回は最終話のみ2話続き。
最終話は花鈴の前世の妹である千帆の物語で、前世がらみの件もここで一段落。
特にシリーズ通じての読者には、うれしいエンディングではないだろうか。
さて本作は基本的にエンターテインメント性の高いフィクション作品だが、目に見えない怪異の対処方法については、とても実際的に役立つように思う。
特に英樹の母と、最終話の花鈴の対応は素晴らしい。 要は自分の軸さえしっかりしていれば、何とでもなるということだ。
もし本当に怪異に巻き込まれている方がいるなら、どうぞご参考に。

またこの作品で英樹と花鈴のコンビに興味が湧いた方は、『闇都市伝説3 見エナイフリ』もぜひどうぞ。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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