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『怪談百物語 新耳袋 第五夜 うしおんな-くだん』 木原浩勝/中山市朗/小松左京(作) 萩原玲二(画) 【日刊マンガガイド】

2015/08/23


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『怪談百物語 新耳袋 第五夜 うしおんな-くだん』
木原浩勝/中山市朗/小松左京(作) 萩原玲二(画) 集英社 ¥840+税
(2015年7月17日発売)


ちびっ子たちを中心に、社会現象にもなった「妖怪」ブーム。
いまだ収まることのない波に乗り遅れまいとゲーム『妖怪ウォッチ2』にある古典妖怪・くだんが参戦! 牛頭人身のかわいらしいキャラクターのおかげで、新たなファン層(?)を獲得したようだ。

昭和40年代、兵庫県西宮市では、くだんと同じく牛頭人身の怪物“うしおんな"の噂が流布していたという。
少年時代をそこで過ごした怪異集『新耳袋』著者にして怪異蒐集家の木原浩勝が、その真相を探るべく始めた、長期にわたる調査を萩原玲二が描いたのが本作。

30数年にも及ぶフィールドワークで手に入れた“うしおんな”がらみの事件を追っていくうちに、やがて舞台は1995年の阪神・淡路大震災へと移って、我々は本作最大の怪異を目撃することになる。
都市伝説、あるいは噂にすぎないと一笑に付すことは可能だが、ここまでにかかった歳月の重みが不思議な説得力を与えてくれる。

また、高校生の木原にくだんを追うきっかけを与えることとなった小松左京原作の短編小説『くだんのはは』も特別収録されている。
これまでも「八甲田山」や「山の牧場」といった様々な怪異の世界を取りあげてきた『怪談百物語 新耳袋』シリーズのトリをかざる決定版。
残暑厳しい折、納涼の意味もかねてぜひ手に入れて読んでいただきたい。



<文・富士見大>
編集・ライター。『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、『月刊ヒーローズ』(ヒーローズ)ほかに参加する。ただいま好評発売中の『バケモノの子 オフィシャルガイド』「『仮面ライダードライブ』フォトブック~Drivin’Album」もやってます。

単行本情報

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