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『アースロコロッサス』 第2巻 東裏友希 【日刊マンガガイド】

2016/08/22


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『アースロコロッサス』


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『アースロコロッサス』 第2巻
東裏友希 KADOKAWA ¥600+税
(2016年7月23日発売)


表紙のイラストを見ると、美少女が色気を振りまきながらアクションをするマンガに見えるが、そう思って本を開いた人はいい意味で裏切られるはず。
なんせアクションするのは、ムキムキの仏像なのだから。

少年チヒロが乗るハメになったのは、ロボットのようにハッチが開き、血液を媒介に操縦する金剛力士像。謎の少女アランとともに阿行と吽形で、襲来する敵と戦わざるをえなくなる。

仏像たちのギミックがおもしろい。第1巻では殺戮を繰り広げる土偶と戦う。
その際の武器は金剛杵(こんごうしょ)からエネルギーを噴射したビームサーベル。
均整の取れた身体の能力を最大限に活かして、飛んだり跳ねたり、ムエタイのようにヒザを決めたり、装甲(?)をパージして全力のストレートを決めたり。

第2巻の千手観音戦のスピード感もいい。逃げても逃げても追いかけてくる無数の腕。
切っても切ってもつかんでくる絶望感。クモのようにせまってくる不気味さ。
金剛力士像はノーマルな人間型なのでたいへんな苦戦を強いられる。
千手観音に乗っているのは表紙の女の子だ。

派手な仏像アクションの裏には、人類全体の問題になるほどの複雑な設定が練りこまれている。
全2巻と短いが、最終回で伏線を回収しきっちり描ききっているのはみごと。

どうにもずるくて逃げてばかりだったチヒロの成長、アランとイシカという性格がまったく異なる少女の思惑、チヒロがしばしば白昼夢に入りこんでしまい、どこまでが本当かわからなくなる描写など、見どころ満載。
必ずしも何もかもうまくいくわけではない、という独特の空気感を描ける作者なので、ぜひ次回作も期待したい。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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