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『ゴールデンカムイ』 第9巻 野田サトル 【日刊マンガガイド】

2016/12/10


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ゴールデンカムイ』


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『ゴールデンカムイ』 第9巻
野田サトル 集英社 ¥514+税
(2016年11月18日発売)


日露戦争後の北海道を舞台に、謎の金塊を求めてアイヌの少女アシリパと元兵士「不死身の杉元」が活躍する冒険。
金塊のありかを記した地図の刺青を彫られた脱獄囚たちが集まる小樽から、網走を目指して主人公たちは札幌、夕張へと歩みをすすめる。

今回、金塊をアイヌから奪い、囚人たちに刺青をした黒幕「のっぺらぼう」の正体がついに明らかになり、物語のスケールは北海道にとどまらない国際規模にまで拡大。

宝の地図が彫られた「刺青人皮」を求めて、一行が向かったのは夕張。現代では財政問題とその解決のための施策が注目を集め、メロンでも有名な夕張は、この時代は石炭の大鉱脈が発見されてにぎわっていた。

この巻で読者は、エド・ゲインをモデルにしたとおぼしき剥製師に出会う。
本作きっての奇人・鶴見中尉と彼のやり取りは、どう見てもグロテスクなのに明らかにほのぼのと描かれていて、著者のみなぎる変態愛がうかがえるだろう。

変態愛に並ぶ、本作のもうひとつの魅力が北海道の自然の味わい。
第1巻から続く長い冬がとうとう終わり、短いが実り豊かな春がやってくる。フキ、フキノトウ、そしてギョウジャニンニク!

北海道の春の味覚を堪能したあとは、アシリパの育った村に匿われていたマタギ出身の谷垣の過去が描かれる。なんかあると思ってたけどそんな過去があったのかよ!
思わず第1巻から読み返したくなる趣向。

アイヌの少女と元日本軍兵士が金塊を追う、という本作に対して一般的に認識されている筋書きからだいぶ逸脱してきている。いいぞ、もっとやれ!
『ゴールデンカムイ』は、簡単なあらすじに回収されるようなチンケな作品じゃないはずだ!



<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
Twitter:@nnnnnnnnnnn
Twitter:@n11books

単行本情報

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