日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ゴールデンカムイ』
『ゴールデンカムイ』 第8巻
野田サトル 集英社 ¥514+税
(2016年8月19日発売)
明治末期、金塊の地図ではないかといわれる刺青を入れた囚人を探し、その皮をはぐため、「不死身の杉元」をはじめ数多くの人間が、北海道を駆けまわるハードアクション。
……と見せかけて、やたら詳しくアイヌの料理を描くグルメマンガでもあり、当時の狩猟文化を紹介する歴史マンガでもあり、脱獄王・白石とアイヌ少女・アシリパさんを中心にしたギャグマンガでもある。
おもしろそうなもの全部つっこんだ作品。詳しくはインタビューを読んでみてほしい。
『ゴールデンカムイ』野田サトルインタビュー ウケないわけない! おもしろさ全部のせの超自信作!
『ゴールデンカムイ』野田サトルインタビュー 「もっと変態を描かせてくれ!」複雑なキャラクターが作品をおもしろくする!!
そして、変態オンパレードのマンガでもある。
以前、最高の方法で殺されたい殺人鬼・辺見が出た時は筆者も、さすがにもうこれ以上の変人は出せないだろうと思っていた。
ところが巻を追うごとに変態度はグレードアップするばかり。
8巻では夕張で剥製を作っている男性、江渡貝弥作(えどがい・やさく)が登場。
動物の剥製制作はもちろん、人間の剥製を作るのも大好き、というサイコパス。
杉元同様金塊を追う鶴見中尉が、彼に偽刺青の人皮のレプリカを作らせようとする。
百歩譲って、人間の剥製作りが好きな人間、というのはまだわかる(いやわかんないけど)。
だがこのマンガはそんなんじゃ終わらない。
変態を「恐ろしい存在」ではなく「おもしろい存在」にするのが、『ゴールデンカムイ』だ。
江渡貝がどういうタイプの変態かは、読んでみてほしい。
というか今後、これを超える変態を出せるのか、想像がつかない。
物語的には、アイヌの村に匿われている兵士・谷垣の過去が語られる大事な巻だ。
そして山は雪が溶けて春のきざしを見せ、アシリパさんたちはヤツメウナギを料理し、杉元は炭鉱でトロッコチェイスを繰り広げる。うん、今回もおもしろい要素しかないです。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」