日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ゴールデンカムイ』
『ゴールデンカムイ』第5巻
野田サトル 集英社 ¥514+税
(2015年12月18日発売)
試される大地・北海道で、日露戦争帰りの元軍人とアイヌ少女のコンビが、隠された財宝をめぐって悪漢どもと争う冒険アクション!
……であると同時に、アイヌ文化への綿密な考証に基づいた狩猟グルメマンガ! というだれも予想だにしなかったフュージョンを成しとげた、『このマンガがすごい!2016』オトコ編第2位のマンガ『ゴールデンカムイ』。
最新刊となる第5巻の登場である。
さて、これまでのグルメは、リスにウサギにカワウソと、主に山の幸が主だったわけだが、5巻ではうってかわって海と川の獲物がメイン。
白米と相性抜群なニシン漬けに、シャチの竜田揚げ、そして幻の巨大魚・イトウの塩焼きに刺身……! これまでは、やっぱこう、いくらうまそうに描写されていても、動物の脳みそ食うっていうのは抵抗があったわけだが、これが、漬け物と白米! 竜田揚げ! そして魚の塩焼きと刺身! となると、もう、素直に俺も食ってみたい! と唾が止まらなくなるわけで、「飯テロ度」では一番の巻ではないかと思われます。
お宝探しのほうも、これ以上濃いキャラなんてはそうそう出てこないだろう……なんて読者の予想を軽々と上回って、またとんでもない入れ墨=宝のありかを示す暗号の持ち主との戦いが行われ、次はどんなキャラが出てくるのかと、特撮の怪獣・怪人図鑑をめくるみたいな気持ちで楽しめる。
生唾もののグルメに手に汗握る狙撃戦と……いろんな体液が止まらなくなる盛りだくさんの少年マンガ。未読の方がいらっしゃったら、ぜひともこの機会に5巻イッキ読みを。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas