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『私の少年』 第2巻 高野ひと深「 【日刊マンガガイド】

2017/01/07


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『私の少年』


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『私の少年』 第2巻
高野ひと深 双葉社 ¥620+税
(2016年12月12日発売)


『私と少年』ではなく『私「の」少年』だ。タイトルでドキッとしてしまう。

『このマンガがすごい!2017』オトコ編第2位に入った本作は、成人女子と幼い少年の物語。
著者によると、男性と少女の話にする予定だったのが、傑作が多すぎるため、性別を反転させてみたそうだ。

30歳の多和田聡子(たわだ・さとこ)は、別れたちゃらんぽらんな元カレ椎川に今も振り回されて、心労が絶えない日々を送っていた。
彼女が仕事の帰り際に見たのは、ひとりでサッカーの練習をする早見真修(はやみ・ましゅう)。
美少女と勘違いするほどきれいな顔立ちの彼は、変質者に絡まれるなど、どうにも危うい。
そこで聡子は、保護者として、かつてのフットサルの経験を活かして彼に毎晩サッカーを教えることを決意した。

だが、彼はサッカーを辞めざるをえなくなった。
感情を押し殺した彼の様子、着ている服、髪の毛を見て、気づく。
ネグレクトだ。

真修を幸せにしてあげたい、助けてあげたい、笑顔にしてあげたい。
聡子のなかで、どんどん保護者的感覚が目覚めていく。

だが自分は真修とは何ひとつ関係のない赤の他人だ。
それでも、自分も素直な彼といると気持ちがどんどん楽になるので、2人の時間が増える。
いっしょにお寿司を食べにいく。部屋にあげて勉強を教えてあげる。真修の家に行って、ゴミだらけの家に入って……。

他人がどこまで、よその子どもに干渉できるのだろう。
第2巻では、踏みこみすぎてしまい、彼女は非常に焦る。
距離を置こうとするが、それは自分の心に正直だとは思えない。

2人の間に恋愛感情や性的視点はいっさいない。
しかし真修の肢体や表情は、ゾッとするほど美しく、エロティック。

健全な関係のはずなのに、危険な匂いにゾクゾクする。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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