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【日刊マンガガイド】『新装版 寄生獣』第1巻 岩明均

2014/08/27


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『新装版 寄生獣』第1巻
岩明均 講談社 463+税
(2014年8月8日発売)


染谷将太、橋本愛ら、若手実力派キャストによる実写映画化と、『寄生獣 セイの格率』というタイトルでのテレビアニメ化に合わせ、改めてリリースされた新装版。新書サイズで非常に軽く、持ち運びがしやすい仕様だ。
通勤通学のお供にぜひ……と言いたいところだが、未読の方はもちろん、再読の方でも一度読み始めたら止まらない強烈な中毒性があり、乗り過ごしや転倒にはくれぐれも注意していただきたい。

宇宙から飛来した未確認生命体(パラサイト)が、人間の身体に寄生するというストーリーに、さしたる新味はない。
だが、パラサイトが平凡な高校生=泉新一の完全な乗っ取りに失敗し、右手のみに寄生したため、奇妙なパートナーシップを結ぶことになるという設定が絶妙だった。文字どおり新一の「右腕」となったパラサイトのミギーは、同胞たちとの戦いを余儀なくされる。新一の死が、自分の死に直結するからだ。
縦横無尽に頭部を変形し、無感情かつ無慈悲に殺戮を繰り広げるパラサイトたちに対して、新一とミギーは分業戦法で立ち向かう。

物語が進むにつれて、「善悪とは何か?」「生きるとは何か?」という永遠の命題が、クッキリと浮上。自分がどこからやってきたのかも認識していないパラサイトたちは、地球の歴史を学んでいくうちに人類の愚かさに気づいていく。
はたして彼らは、地球にとって害悪でしかない人間を滅ぼすために生まれた、神的な存在なのだろうか?

1988年の連載スタートから四半世紀の時が過ぎたが、古さなど微塵も感じない。
何十回、何百回もの再読に耐えうる、不朽の名作である。



<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
ドキュメント毎日くん

単行本情報

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