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【インタビュー】美内すずえがおくる、戦慄のオカルト少女マンガふたたび! 『13月の悲劇 美内すずえセレクション 白の書』発売記念!

2018/01/05


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、美内すずえ先生!

“美内すずえ”といえば、北島マヤちゃんが紅天女を目指す、演劇大河ロマンコミック『ガラスの仮面』を思い浮かべる人は多いだろう。
しかし、じつは彼女が短編の名手であることは、熱心なファンならば周知のとおり。なかでもデビュー間もない70年代初頭から80年代半ばまでは、怪奇ホラー・サスペンス・冒険・SFなど、当時の少女漫画としては異色ともいえるジャンルの中短編を多数、世に送りだしていたのです。

そんな美内先生の原点ともいえる初期中短編を装丁も新たに、貴重なカラー原画とともに収録したシリーズが、『このマンガがすごい!comics 美内すずえセレクション』。昨年刊行された『黒の書』に続いて、このたび第二弾『白の書』発売を記念して、美内すずえ先生にインタビューを刊行。作品の意外な誕生秘話や驚愕のマル秘エピソードなど、ココでしか読めない貴重なお話をおうかがいしました!

あのオカルトマンガの名作は、実体験に基づいていた!?

――私は小学生の頃に先生の怪奇ホラーやサスペンスを愛読していまして。単純にものすごく怖かったですが、恐怖にヒロインが立ち向かってゆく姿がまたハラハラドキドキ痛快で。魔女とかコックリさんといったモチーフも当時は未知のものだったので、余計に刺激的で夢中になりました。

美内 ありがとうございます。読者の方からよく、「トラウマになった!」といわれて、ごめんなさいって(笑)。

――『13月の悲劇』は舞台がヨーロッパの修道院学園の寄宿舎で、魔女とか黒ミサとか、ゴシックな世界観に魅了されました。

ゴシックな雰囲気ただよう『13月の悲劇』は美内ホラーのなかでも異彩を放つ名作!

美内 『13月の悲劇』は、じつは私のカンヅメ状態から生まれた作品なんです。10代後半~20代前半はしょっちゅう旅館にカンヅメになってて、いつ編集者さんが来るかもわからない緊張状態で、3カ月ぐらい本を買うぐらいしか外に出れなくて……。ある時、編集さんに「そろそろ桜咲きますね~」っていわれて、「ここ来たのって年末じゃなかったっけ? ここにはクリスマスも正月も何もない、季節がない、ここは13月だ!」と思ってたら、ふと『13月の悲劇』って言葉が浮かんで。女の子が学校に閉じこめられて出れない話はおもしろいかもって。当時、ヨーロッパの魔女裁判に興味を持って本を読んでいたので、そういう要素も入れて……。

――そのエピソードを聞くとギャグとしか読めなくなりそうですが(笑)、そういう禍々しい世界を物心がつく前にマンガで知ってしまったのは本当にトラウマです!

美内 トラウマといえば、今回収録された『白い影法師』は私のマンガでいちばん怖いとおっしゃる方が多い作品なんです。例の机の下のシーンが怖すぎて糊で綴じたみたいな話はよく聞きました。

――私も家に置いておくのが怖くて友だちの集まりでプレゼント交換に出したら、また次の時に自分に戻ってきて、ギャーッとなりました(笑)。『白い影法師』は現代の学園を舞台にした一人称語りのホラーで、今でこそ『本当にあった怖い話』みたいな実話系怪談は定番ですが、当時はまだほとんどなかったですよね。

数多のトラウマを産んだこのシーンは、今でもファンの間では語り草に……。

美内 そうなんですよ。講談社の「月刊mimi」という雑誌から依頼が来たとき、夏だから怪奇ものでいこうと思って。それまでにも怪奇マンガって世の中にたくさんあったんですけど、もっとこれまでにないような、リアルな怖さってなんだろう? って考えたとき、やっぱり身近なものが怖いなと。学校でこんな怖いことがあったよ、って話にしたら読者も身近に感じられて怖いんじゃないかと思ったのと、あと私自身、小さい頃から妙な体験をいっぱいしていたので、そういう作者の実体験も入れたら、よりリアルでおもしろいんじゃないかと。

――え、それは具体的にどういう……?
(※以下、先生の恐怖体験談と実際にマンガになったシーンについては、本書巻末の作品解説で読めます!)

――ひ~! これが本当にあったこととは……。先生の体験もマンガもすごすぎます! 

美内 本当にこんなことがあるんだなって。もちろん、マンガに描くときはフィクションのおもしろさを目指すんですけど、そこにちょっとでも作者の経験が混ざるとリアリティが出てくるんですよね。

『孔雀色のカナリア』を描くきっかけになったのはなんと夢のお告げ!

――『孔雀色のカナリア』はアリバイ工作やトリックを盛りこんだ、松本清張なんかを彷彿させる本格犯罪サスペンスで、これまた少女マンガとしては異色の読みごたえある作品です。

美内 じつはこれは夢がもとで生まれた作品なんです。ある時、高校生ぐらいの女の子が人を殺す夢を3日間ぐらい続けてみたんですよ。シチュエーションは微妙に違うんですが、どれも苦しさがリアルに伝わってきて、さすがに辛くて、「マンガに描くから勘弁してくれ!」っていったらピタッと収まったんです。なので、これは本当に描かなきゃなーと思って。

――えー! まさかの夢のお告げですか!?

美内 そうそう。ただ当時、高校生の女の子が殺人を犯すという作品はなかったので、どうなんだろうなーと思いながらも、また同じ夢を見るのは嫌だから描くしかないなって(笑)。殺人を肯定してはいけないので、どこかで踏みとどまることもできたはずなのに、ちょっとしたボタンのかけ違いで殺人を犯さざるをえなくて、妹とすり替わってお金持ちになっても全然幸せじゃなくて、最後は後悔しながらも……という悲劇的な物語にしてね。
この子が妹の首をベルトで絞めるシーンがあるでしょ。それもじつはあるエピソードがあって……。
(※こちらも本書巻末の作品解説を参照!)

なんというリアリティっ……! このシーンにまつわる逸話も、単行本には掲載!

――いやはや、なんとも信じがたい話ですが、すべてはつながってるということなんでしょうか……。

美内 私がマンガを描くときは、いつも読者に楽しんでほしいというエンターテインメントの意識で描くんですが、この作品に関してはちょっと違って。なにか描く必要があったのかなと思いましたね。だって、女子高生が人を殺す話なんてふつうだったら載せられない! って蹴られたと思う。

――しかも、掲載誌が「セブンティーン」なのに……。

美内 そうなんですよ。それが実現したというのは、なにか必然的なものがあったのかなって。

――本当にそうですね。美内先生、貴重な創作秘話をありがとうございました!

高校生で漫画家としてデビューし、まだ20歳そこそこで殺人的スケジュールをこなしていた若き日の美内先生が、従来の少女マンガのセオリーを覆す恐怖とロマンと興奮を、短いページ数のなかでギュッと凝縮して描いてみせた『13月の悲劇 美内すずえセレクション 白の書』。  まさに美内作品の真骨頂が詰まった一冊、ぜひ手にとってご覧ください!

『このマンガがすごい!comics 13月の悲劇 美内すずえセレクション 白の書』
美内すずえ 宝島社 ¥1,500+税
(2018年1月12日発売)

取材・構成:井口啓子

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