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【インタビュー】スケラッコ『大きい犬』と最新単行本『平太郎に怖いものはない』「妖怪の造詣が好きで、見てみたいんです」

2018/06/27


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、スケラッコ先生!

京都を舞台に同じお盆の1日を何度も繰り返す女子中学生の姿を描いたデビュー作『盆の国』が、各方面で大きな反響を集め、昨夏に出版された『大きい犬』も「このマンガがすごい!2018」オンナ編第9位を獲得するなど、大きな注目を集めるスケラッコ先生。
 インタビュー後編では、最新単行本『平太郎に怖いものはない』の話も交えつつ、人間に動物、妖怪、幽霊、神様、食べ物など、生きとし生けるものがごちゃまぜになって繰り広げる、突飛なユーモアとあたたかな人間味(!?) あふれるスケラッコ・ワールドにさらに迫ります!

<インタビュー第1弾も要チェック!>
【インタビュー】スケラッコ『大きい犬』住宅街に家くらいの大きい犬がいる!? 日常のなかに溶け込む「非日常」

著者:スケラッコ

京都在住。
初の商業単行本マンガ『盆の国』(リイド社)に続き『大きい犬』が、『このマンガがすごい!2018』オンナ編第9位にランクイン。
現在は、リイド社の新感覚マンガ&カルチャーサイト「トーチweb」にて『平太郎に怖いものはない』、芳文社「いただきマス幸せごはん」にて「しょうゆさしの食いしん本」のご飯マンガを連載中。


『三次実録物語』の舞台である、いざ広島へ!

――『平太郎に怖いものはない』は、高校へは行かずにお好み焼き店を営んでいる平太郎の前に次々に妖怪が現れる「妖怪もの」です。『三次実録物語』という広島に実在した稲生平太郎による妖怪実見譚が原案だそうですが、これをマンガに描こうと思ったのはなぜなのでしょう?

スケラッコ  さかのぼると、小学生のとき図書館で読んでいた『ヘイタロウ妖怪ばなし』という『三次実録物語』を子ども向けにしたシリーズがとても好きで、連載のアイデアを考えているときになぜか思い出して、マンガにしてみたいという気持ちになったんです。

――平太郎がひとりでお好み焼き店を営む高校生という設定がいかにもスケラッコさんらしいのですが、平太郎と彼を取り巻くキャラクターたちはどのように考えていかれたのでしょう?

スケラッコ  原作の『三次実録物語』の登場人物を参考に、マンガに合うようにアレンジしました。お好み焼き店という設定も、もともと『三次実録物語』の舞台が広島なところから浮かんだものですね。

――執筆にあたって広島に取材に行かれたそうですね。スケラッコさんのTwitterに掲載されていた「広島おこのみ歩き」(広島取材)でその様子を拝見したのですが、そこで描かれる風景も古きよき情緒があって、お好み焼きもおいしそうで……。こののどかな風土感が平太郎ワールドの根底にあるのだなあ……と感じました。

スケラッコ  ありがとうございます。広島は広いのでひと言ではいえませんが、空が広くて自然が美しくて、でも街もあっていい場所だなあと感じました。あと広島弁も魅力的ですし。お好み焼きはもちろんおいしいし、また遊びにいきたいですね。

自身のTwitterにて掲載されている「広島お好み歩き」より。
「尾道焼き」も気になる……!

――『平太郎に怖いものはない』というタイトルどおり、次々にこれでもかといろんな妖怪に襲われても、怖がるどころか平然として日常を貫こうとする平太郎がおかしくって不思議で、引きこまれていきます。突拍子のない出来事が起こっても登場人物は特に驚く様子もなく、淡々とそれを受け入れて普段どおりの日常を過ごそうとするのはスケラッコさんワールドの特徴でもあり、見事にハマってます。

髪の長い首だけの女の妖怪に対しても、あわてることなくこの対応!
妖怪側も、怖がらない平太郎に驚いているのでは……?

スケラッコ  そうですね。平太郎が妖怪や化け物を怖がらない、というのは原作のままなんですが、もともと自分のなかにも「妖怪=怖い」というイメージがないので、自然に描けました。

――妖怪もあくまでスケラッコさんらしく、ほのぼのとチャーミングに描かれていますね。

スケラッコ  妖怪は単純に造形も好きで、私自身は平太郎のように妖怪を見たことはないのですが、だからこそ、見てみたいという思いはありますね。

――スケラッコさんのマンガには人間だけでなく、動物や妖怪や幽霊や神様など、いろんな生き物がごく自然に登場して、ごく当たり前のように人間と話して、ものを食べて、いっしょに暮らしています。そのアニミズム的ともいえるカオス感が楽しくて、しかも、その動物や神様がまた人間以上に臆病だったり、欲張りだったり、妙に人間くさい(笑)。

スケラッコ  そうですね。

モラトリアムな空気が漂う「スケラッコ・ワールド」は「京都在住」が影響している

――あと、おじいちゃんおばあちゃんもよく登場しますよね。盆やクリスマスや七回忌など、家族や親戚が集まる行事のシーンも多いし。

『盆の国』より。かつてお盆の間だけ、主人公・秋の目には姿しか見えなかったペットのしじみとおじいちゃん。
死んだはずの「おしょらいさん」たちが、長く続くお盆のせいなのか、段々と日常世界になじんできて……。

スケラッコ  なぜなんでしょうね。自分ではよく登場させている意識はありませんでしたが……。行事のシーンも特に意図はないんですが、いろんな人が集まってるシーンを描くのは好きです。

――『盆の国』の「中学2年の夏休みを繰り返す女の子」だったり、『大きい犬』の「いつからか何となくこの町にいる犬」だったり、『平太郎に怖いものはない』の高校に行かずにお好み焼き屋を切り盛りする少年だったり……。スケラッコさんのマンガには「永遠の夏休み」とでもいうべき、宙ぶらりんでモラトリアムな空気が漂っているように思われます。それがハイスピードで物事が変化し消費されてゆく現代とは隔絶された桃源郷のようで、なんとも心地よいのですが……。

スケラッコ  ありがとうございます。どうなんでしょうね。京都に住んでいることは作品に影響があると思います。あと、会社勤務などをしていないのも関係していると思います。

――なるほど。マンガを描く上で大事にされていることはありますか?

スケラッコ  できるだけネームに時間をかけるようにしています。

――『大きい犬』のアイデアは散歩をしているときに思いつかれたということですが、普段から「もしここに家みたいに大きい犬がいたら……」とか「同じ1日をずっと繰り返すことになったら……」とか空想されてる感じで? 

もしもカーテンを開けてこんな大きい犬がいたら……
普通に考えたらおかしいのだが、ほのぼのしてしまうイラストだ。

スケラッコ  普段からマンガのことを考えていることが多いので、たぶんそうだと思います。

――最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

スケラッコ  これからもマンガを読んでいただけたらうれしいです!

――ありがとうございました!

『大きい犬』
スケラッコ リイド社 ¥630+税
(2017年8月3日発売)

取材・構成:井口啓子

単行本情報

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