国民的作品といえる『サザエさん』や『コボちゃん』など、私たちにとって身近な存在である4コママンガ。しかし、メディア化された作品以外、なかなか陽の目を見る機会が少ないのも事実……。
近年は、「まんがタイムきらら」連載作をはじめとする、“萌え4コマ”作品が表舞台に出やすい傾向にあるが、それだけではない！　ストーリー性重視、人気アニメ・ゲームのスピンオフ、ショート・ショート的な短編と4コマが組み合わさったオムニバスコメディ、などといった様々な趣向を凝らした作品も台頭してきているのだ。
今回は、4コママンガをほぼ専門的に扱うレビューサイト「素晴らしい日々」を運営する八戸さんに、もっとスポットライトが当たってほしい3作品をうかがった。

[※2013年から2014年6月に発売されたマンガ単行本のなかから選出をお願いしています]

4コママンガの新時代を担う、八戸さんイチオシの3作品！

『ボク恋コンダクター』 坂巻あきむ

『ボク恋コンダクター』第1巻
坂巻あきむ　竹書房　￥648＋税
（2014年4月26日発売）

主人公が恋心を抱いているヒロインの片想いを応援する……という作品。
4コママンガは基本的に予定調和で意外性のある作品は少ないのですが、この作品に関しては先が読めないおもしろさがあります。感傷的に感じる部分もあるが、基本的にノリが軽く読み口が爽やか。かわいらしい絵柄とテンポよく読める楽しいマンガです。

4コママンガの場合、恋愛要素はおまけみたいな作品が多いですが、この作品は甘酸っぱくもガッツリ。ふだん4コマを読まないような人には、逆に新鮮でおもしろいのではないでしょうか。
現時点で、今年のベスト4コマかもしれません。

『氷室の天地 Fate/school life』 磨伸映一郎（著） TYPE-MOON（監）

『氷室の天地 Fate/school life』第7巻
磨伸映一郎（著） TYPE-MOON（監）　一迅社　￥800＋税
（2014年4月22日発売）

「まんが4コマぱれっと」の看板作品で、『Fate/stay night』の公式スピンオフ。脇役として『Fate』本編に登場する、通称・三人娘（氷室、マキジ、三枝の3人）をメインにしたギャグ4コマ作品です。

「これが公式なのか……」と唸らされるような『キン肉マン』、『ジョジョの奇妙な冒険』、ダイナミックプロなどの、パロディをふんだんに盛り込み、ほかの4コマにはない唯一無比の作風で非常におもしろいです。

ギャグ4コマとしても優秀ですが、Fate本編で描かれる聖杯戦争も絡んできて「主人公たちの日常」と「聖杯戦争の非日常」が入り混じる「氷室の天地 Fate/school life版 聖杯戦争」が描かれるであろう、今後の展開が楽しみです。

『アナーキー・イン・ザ・JK』 位置原光Z

『アナーキー・イン・ザ・JK』
位置原光Z　集英社 ￥514＋税
（2014年5月19日発売）

ショートギャグと4コマを織り交ぜた、女子高生ギャグ作品。うさくん（代表作に『マコちゃん絵日記』など）のような、ナチュラルにブラックなネタや下ネタを織り込んでくる作風がおもしろい。
普通の4コマだけじゃ満足できなくなっている私としては、単眼キャラやら女装男子が普通にレギュラーにいるあたり「そうだ、俺はこういう学園4コマが読みたかったんだよ！」と万歳三唱です。

同人誌と比べると危険球はだいぶ抑え目になっている気がしますが、それでも平然と特殊プレイやらセックスを連呼するあたりは、やはり位置原作品。
セックスをしたあとの体育倉庫みたいな蒸し暑さがある作品はこれだけです!!

ご協力者紹介：八戸

4コマとアイドルを愛するブロガー。

雑誌のランキングからマンガレビューサイトまで4コマをスルーする日常から「みんながスルーするなら私が語る！」と開眼し、4コマレビュアーの道を歩む。

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