人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは、ふじた先生!
仕事より趣味が忙しい隠れ腐女子OLの成海と、顔もスタイルもよく仕事もできるが重度のゲーヲタの宏嵩(ひろたか)。2人は小中学校の同級生で職場も同じ。妙な流れで付き合うことになったものの……。
ヲタク同士のなかなか発展しない不器用な恋愛を描いたラブコメ『ヲタクに恋は難しい』(通称「ヲタ恋」)。
pixivの投稿から始まった本作は、ヲタク同志から熱い支持を受けpixiv内のオリジナルコミックブックマーク数歴代1位を記録、「第1回次にくるマンガ大賞」の“本にして欲しいWebマンガ部門”でも第1位を獲得! 単行本化されるとますます人気は高まり、ついに「このマンガがすごい!2016」オンナ編1位に輝いた!!
本誌 『このマンガがすごい!2016』 でも8ページにわたってふじた先生のインタビューを掲載していますが、それでも紹介しきれなかったお話も盛りこんだディレクターズカット版として、『このマンガがすごい!WEB』限定でお届け!
ヲタクでなくとも「ヲタ恋」ブームに乗り遅れるな!
マンガに行き詰まった時 リハビリのつもりで描き始めた「ヲタ恋」
――「ヲタ恋」はpixiv[注1]で人気を博したことが単行本化のきっかけになったそうですが、以前にもWEBでマンガを発表したことはあったのでしょうか。
ふじた オリジナル作品ではこれが初めてでした。そもそも「ヲタ恋」を描いてpixivに発表したのはマンガのリハビリのような感じで。
――リハビリといいますと?
ふじた それまで編集部に持ちこみに行って担当さんがついたこともあったんですけど、なかなかうまくいかず。どうやったら編集さんからOKをもらえる作品になるのか四苦八苦するうちに、自分は何を描きたいのか、マンガってどうやって描いたら楽しかったのか、それさえわからなくなってしまっていたんです。
――それはかなり重症ですね……。
ふじた それで、「ヲタ恋」を始める時、自分が楽しいだけのマンガを描こうと考えたんです。ページ数も気にせず、できたところから1ページずつ更新して。キャラクターや設定の説明もナシで、いきなり2人が出てきてつきあうことになる……おいしいところだけ描いちゃえ、と。ひとまずマンガを楽しく描くことを思い出すために。
それまでは少年マンガにこだわっていたので世界観だとか、少年マンガっぽい特殊能力などのまどろっこしい説明を必死に考えていました。でも、恋愛マンガだとそうしたものがいっさいいらないんですよね。現代で社会人で男と女で……という前提からもう本題に入れるから、なんてラクなんだろうと感動しながら(笑)。
――それが単行本の冒頭の、エピソード1の部分だったんですね。その時その時、楽しさを感じながら描いていこうと?
ふじた そうです。1ページにひとつクスッと笑えるところがあればいいな、というユルい感じで。
――公開してわりにすぐ反応があったんですか?
ふじた いえ、全然ですよ最初は。なにしろ1ページずつのアップだったので。でも、続けていくうちに少しずつ反応をもらえるようになって。たくさんの作品がアップされているなかで評価をもらえるのはうれしくて、次も描こうという励みになりましたね。
――反響が大きくなってきた手ごたえを感じたのいつ頃でしたか?
ふじた 「エピソード1」といっても数ページをまとめてアップした時です。
――けっこう早いじゃないですか!!
ふじた でも、ゆっくり描いてたのでそこまでにけっこう時間かかってるんですよ。pixivのランキング上位になるとトップページにサムネイルが出るようになります。そうすると初めて見てくれる人も増えていって……。
読者の熱望により 初の単行本化
――そして「第1回次にくるマンガ大賞」の“本にして欲しいWebマンガ部門”[注2]で1位を獲得していますが、これが単行本化のきっかけに?
編集 じつは「エピソード0」が上がった時点からチェックしていたんです。とてもおもしろかったので連絡を取らせていただいて。もちろんほかの出版社からもオファーがあったそうですが、うち(一迅社)から本を出させていただく話を進めている途中で、「本にして欲しいWebマンガ」1位になったんです。
――絶妙なタイミングですね。まさに世の中のみんなが待っているタイミングで! 単行本化の話をいただいた時はどう思われましたか?
ふじた もちろんうれしかったです! でも、単行本にするにはあきらかにページが足りなかったので相当がんばらなくちゃと。実際、50ページ描き下ろしすることになりましたが(笑)。
――50ページとは……半分近くですね。
ふじた はい、めちゃくちゃがんばりました!!
まだまだふじた先生インタビューが見たいという方に朗報!
ふじた先生の貴重なインタビューがたっぷり8Pも掲載されている『このマンガがすごい!2016』が好評発売中です!WEBでは出せないけっこう衝撃のエピソードも載っていますよ。
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- 注1 pixiv イラストの投稿に特化した会員制SNS。ピクシブ株式会社が運営。「お絵かきがもっと楽しくなる場所」をスローガンに2007年9月10日からスタート。
- 注2 「第1回次にくるマンガ大賞」の“本にして欲しいWebマンガ部門” 「次にくるマンガ大賞」は、KADOKAWAが発行する月刊総合文芸誌「ダ・ヴィンチ」とniconicoが創設したマンガ賞で、次に流行るであろうマンガを読者の投票で決定するのが特徴。“本にして欲しいWebマンガ部門”は、その名のとおり、まだ単行本化されていないWebマンガで単行本化を希望する作品のランキング。
取材・構成:粟生こずえ
撮影:辺見真也