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『左門くんはサモナー』 第7巻 沼駿 【日刊マンガガイド】

2017/01/21


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『左門くんはサモナー』


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『左門くんはサモナー』 第7巻
沼駿 集英社 ¥400+税
(2016年12月31日発売)


性格激悪な悪魔召喚術士・左門くんを描いた学園コメディも7巻目。
今回も悪魔を召喚しては、人の夏休みを邪魔したり、悪魔たちの合コンを邪魔したり。
鬼畜な所業を繰り返しては、人間からも悪魔からも嫌われている。

第7巻後半からは、久しぶりのシリアス+バトル展開。
周囲の人々は突然、魂が抜けたかのような、欲望ゼロな状態になってしまう。
左門くんの親友・九頭龍芥(くずりゅう・かい)もすっかり腑抜けになってしまった。
犯人は、神に仕える悪魔・マステマ。
人に試練を与え、うち勝つ者を天の国に導き、敗れた者を地獄に落とす。

優しい少女・天使ヶ原桜(てしがわら・さくら)は、欲望に屈しなかった。
マステマは彼女に聖人の匂いをかぎとった。あのジャンヌ・ダルクのように。
「だから君を焼きたい」と暴走したマステマは、天使ヶ原を誘拐してしまう。
左門くんの堪忍袋の緒が、切れた。

普段はどうしようもないクズ行動をとる彼。いざとなるとりりしく強くなるのが魅力だ。
じつはクズ行動もりりしさも、思想の根は同じ。
欲にかられた人間が大好きで、欲のない偽善者がキライ。
それを証明するためなら、どんな苦労をもいとわない。

「僕が見たいのは欲に負けた末の醜い破滅だっての」
「あんな欲も何もなくなって 後悔も未練も無しに逝かせるなんてやり方 何が面白いんだよ」
この彼の言動からは、物語序盤の時からまったく揺らがない彼の意思が見える。
彼は「正義」のために、戦うつもりはみじんもない。

ただ、今まではそういいながら笑っていた左門くんも、今回は目が笑っていない。
友だちがいなかった彼。
今は、友だちがいる。

なおこの作品、バラキエル、アンドラスなど、出てくる悪魔たちにはすべて元ネタがある。
その特技や性格が、うまく物語にはまっているので、ぜひネットなどで検索しながら読んでみてほしい。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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