365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
4月5日は長嶋茂雄がプロデビューした日。本日読むべきマンガは……。
『戦国の長縞GB軍』 第1巻
志茂田景樹(作) 日高建男(画) リイド社 ¥619+税
1957(昭和32)年11月20日、並みいる競争相手を抑えて、読売ジャイアンツは当時立教大学生だった長嶋茂雄を獲得した。
東京六大学リーグにおいても在学中のほとんど全シーズンでベストナインに選ばれていた長嶋の評価は当時から高く、入団後もオープン戦で7本の本塁打を放つなどさらに期待が高まるなか、1958(昭和33)年4月5日の開幕戦をむかえた。巨人軍・長嶋茂雄の実質的デビューの日である。
相手は国鉄スワローズ(現・東京ヤクルトスワローズ)のエース・金田正一。長嶋のデビュー戦の成績は……なんと4打席連続三振。しかもフルスイングでの三振という完敗に終わった。
この背景には、オープン戦の長嶋の活躍に「負け」の下馬評がたった金田投手が奮起して、最高のコンディションで本試合に臨んだという事実があるらしい。さすがカネヤン、オトナゲない。
しかしながらこの連続三振劇も当時の長嶋人気の前には“逆にすごい”という評価に変わり、以後の活躍はほとんど日本の全国民がご存じだろう。
そんな長嶋茂雄がマンガの主人公になった、といえば諸兄は驚かれるだろうか?
長嶋茂雄が登場するマンガといえば、『巨人の星』
『ちかいの魔球』『男どアホウ甲子園』、そして『アストロ球団』……じつはけっこうある。
あるのだが、すべて脇役なのだ!
しかもだいたいアゴヒゲの剃りあとが青々しいキャラで!!!!
今回ご紹介の『戦国の長縞GB軍』は、かの志茂田景樹が1995年に発表した『戦国の長嶋巨人軍』を原作に 『満腹ボクサー徳川。』の日高建男がコミカライズを手がけたカルトマンガ。表題どおり「長縞繁郎(ながしま・しげろう)」ひきいる東京グレートベアーズ(GB軍)が戦国時代にタイムスリップするという、ザ・荒唐無稽な物語である。
冬季シーズンオフに精神力を鍛える目的で自衛隊に体験入隊したGB軍のスタメン&投手陣は、1995年の相馬原演習場から1560年の田楽狭間、つまり桶狭間に“飛ばされ”てしまう。
「われわれはタイムスリップしたのでは?」という洞察力に優れる優勝請負人・東風広満(こち・ひろみつ)の推論を長縞監督はいとも簡単に受け入れ、90式戦車をはじめ自衛隊の武装を駆使して戦国ニッポンに野球を普及するための戦いに身を投じる……って、やっぱり野球やんのかーい!!!!
どこにいようとあくまでもポジティブな長縞イズムが、戦国の雄・織田信長まで動かしてしまう展開はなんだかわからんがとにかく爽快。
あげくの果てにはGB軍対織田軍の野球対決という夢のカードが実現。
先発投手・巻藁ヒロシ(!)対4番ファースト・柴田勝家の対戦は圧巻のひと言。
機会があればぜひ読んでいただきたい1冊である。
<文・富士見大>
編集・ライター。歴史SLGメーカー出身で、歴史はもちろん特撮のあれこれやマンガのあれこれに携わる。最近のお仕事は「東映ヒーローMAX Vol.55」です。