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『ハイパーウルトラガーリッシュ』 第1巻 大川ぶくぶ 【日刊マンガガイド】

2018/02/24


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ハイパーウルトラガーリッシュ』



『ハイパーウルトラガーリッシュ』 第1巻
大川ぶくぶ KADOKAWA ¥780+税
(2018年1月27日発売)


アニメが放送される度にTwitterトレンドが関連ワードで埋まってしまうほど人気の『ポプテピピック』
その原作者・大川ぶくぶの2008年の初連載作『スーパーエレガント』の後継作・セルフリメイクにあたるのが今作だ。
『ポプテピピック』が持つ、シュールな展開と毒の盛りこみ方はそのままに、ネタの安定感とキャラクターの関係性を引き立てたことで、独特ながらも読みやすい学園コメディに仕上がっている。

自由気ままやりたい放題のファッションメンヘラ・テン。クールでまじめなテンちゃんのお守兼ツッコミ役中二病少女・メイ。まったくしゃべらない小動物系少女・コロ。
3人+αが、私立エレガント女学院ですごす様子が描かれる。
テンのくすり(メンヘラ演出)を奪った鳥が飛行機に激突して爆発したり、メンヘラ空手でほかの学校の少女と戦ったり、コロがネオナチの正体を暴いたりと、騒動の質が理解の範疇外なのは大川ぶくぶ作品ならでは。

全体的にテンの奇行のせいでナンセンスな作品だが、ところどころでストーリー性が濃いのも特徴。

たとえば、テンがメイの長かった髪の毛を、別の生徒に切らせてしまった回。ある歌手に憧れて髪を伸ばしていたメイは、号泣。傍若無人な性格のテンも、この姿に動揺し、激しく落ちこんでしまう。
2人を見たコロ。すぐさま自分がヘアスタイリストになって、メイの憧れの歌手をかっこいいショートカットにすることで、メイを間接的に応援。次の回以降、メイはショートカットでイキイキ活躍している。
あちこちツッコミたい部分はあるけれども、なんだかんだで成立する3人のハッピーな展開には、ぐっとくる。
大川ぶくぶは破天荒ななかに、女の子たちの親愛の情をしれっと混ぜるのがうまいので、ぜひほかの作品でも注目してみてほしい。

『ポプテピピック』では竹書房を破壊していたが、こちらでも「電撃マオウはアブノーマル誌」とさらりとディスっているので、安心。
コピペ芸も冴えわたるどころか、4コマ全部真っ白な回まである。
廃版になっていた『スーパーエレガント』の完全版も同時発売されたので、こちらもぜひ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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