『幸腹グラフィティ』第4巻
川井マコト 芳文社 \819+税
(2014年12月25日発売)
「おいしいものをもりもり食べる女の子」マンガが、今プチブームだ。
『ラーメン大好き小泉さん』に『くーねるまるた』、『もぐささん』などなど。この『幸腹グラフィティ』も、そのひとつ。
毎回、主人公たちが食べる時、恍惚とした表情で語るのが最大の特徴。
色っぽい顔つきで、エクスタシーすら感じているかのように、食べる。モノローグ的に味についてしみじみ語りつつ、食べる。
……のかと思っていたら、じつはすごい大声で叫んでおり、周囲からは「食レポ?」と不審がられている。そのくらい食べることに没頭するのが、「かわいさ」になっている。
ひとり暮らしで美術の道に進むリョウ。その家に転がり込んできた超大食い元気少女きりん、クラスメイトの椎名を中心に、食を中心に日常が描かれる。
親元を離れ、少女たちだけで暮らすとき、やはり寂しさはある。将来への不安もある。思春期の悩みはつきない。
そんな時においしいものを食べてエネルギーを充填。一歩ずつ前に進む姿を見られるのが醍醐味だ。
だれかと一緒に食べることで「幸せ」になれる、ということを重視した作品。「幸腹」は、誰かと食べる時間をともにする幸せ、という意味を含んだ造語。
リアルタイムで時間が進んでいるため、中2だった彼女も今は高校2年生。
卒業が来た時に彼女たちはどうなるのだろう? と寂しさを感じさせるシーンがあるものの、元気いっぱいのきりんが言う。
「会う気になれば、いつでも会えるじゃんっ! もし離れ離れになってもさ、ご飯を食べれば2人のこと思い出せるし」
「幸腹」が導き出した、ひとつの結論だ。
食でつながる幸せを描くこの作品は、1月からアニメ化されて放映中。
「おいしさ」をアニメで表現するのは難しい。しかし製作は、以前『ひだまりスケッチ』で、うまそうにバクバク食う「宮ちゃん」というキャラを描いたシャフト、もりもりおいしそうに食べる表現に期待したい。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」