『恋と嘘』第1巻
ムサヲ 講談社 \429+税
（2015年1月9日発売）

人口減少に歯止めをかけるべく、政府が施行した「超・少子化対策基本法」。それは遺伝子情報などから割り出したデータをもとに、満16歳になった男女に将来の結婚相手を通達するというものだった。

恋なんてするだけムダな、そんな世の中。高校1年の根島由香吏（通称・ネジ）は、16歳の誕生日を迎える前日、5年間片思いしていた高崎さんに告白する決意をする。
気弱でおとなしく、目立たないネジ。一方の高崎さんはスタイル抜群、だれもが目を奪われるような美少女で。まるで望みはないと思っていたのに、意外や彼女もネジのことをずっと好きだったのだ。

しかし、両思いを確認しあった直後、16歳となったネジのもとに政府からの通達がもたらされる……！
当初、ネジのスマホに送られた政府指定の結婚相手は、ほかでもない高崎さん。ところが、厚生労働省の役人たちが持参した“公式書面”に書かれていたのは、真田莉々奈という名前だったのだ。
この莉々奈も、ストーリーをかき回してくれるなかなかの曲者キャラ。

恋愛禁止の時代、熱い想いを振り捨てることができない少年はこの先どんな運命をたどるのか？　最初のスマホ通知は単なるエラーだったのか？
純愛のせつなさと、SF風味のワクワク感が融合した新感覚の恋愛マンガである。

＜文・粟生こずえ＞
雑食系編集者＆ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」