365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
9月27日は世界観光の日。本日読むべきマンガは……。
『らき☆すた』第1巻
美水かがみ 角川書店 ¥760+税
9月27日は「世界観光の日」という国際的な記念日。
これは2015年現在で156カ国が加盟する世界観光機関(UNWTO)によって制定されたもので、1970(昭和45)年のこの日に「世界観光機関憲章」が採択されたことが由来……という、非常に正統派の記念日なのである。
ということで、本日は世界的に観光の意義をあらためて考える日なのだが、オタク界隈で観光といえば、作品の舞台となった土地に実際に行ってみる、いわゆる“聖地巡礼”を話題にしないわけにはいかないだろう。
このオタク界隈における聖地巡礼という行為、クローズアップされたのは比較的近年になってのことという印象もあるかもしれないが、こうしたファン活動自体は非常に古くからあったもの。
映画やドラマのロケ地に実際に行ってみるという観光ツアーは昔からの定番だし、マンガ作品でも、たとえば『ジョジョの奇妙な冒険 part5 黄金の風』の舞台となった2001年にあわせてイタリア旅行をするファンも少なからずいたりした。もう、あれから14年も経っているんですねぇ……。
という話はさておき、そんな聖地巡礼が爆発的に注目されることになったのは、なんといっても2007年にアニメ化された『らき☆すた』がきっかけと言っても差し支えないだろう。
もう、あれから8年……とかあんまり書いてると本当にぞっとしてきたのでやめておくが、とにもかくにも作品の舞台となった埼玉県久喜市鷲宮町および鷲宮神社にファンが殺到。そして、当初はそうしたムーブメントに戸惑う地元住民の声も少なからずあったのだが、結果的にはそうしたファンを積極的に受け入れたことによって大きな経済効果がもたらされ、観光や地域振興の新たなアプローチとして注目を浴びることにもなった……というわけ。
ところが、じつはその『らき☆すた』、原作では具体的に鷲宮町が登場するわけではなく、漠然と埼玉ということがわかる程度というのも興味深い事実。
近年は聖地巡礼を見越して、意図的に舞台となる町が設定されている作品も少なくないのだが、『らき☆すた』の連載開始当初は、そこに関してまったく狙っていなかったことが原作を読むとよくわかる。まさかこのマンガが鷲宮町に大きな変化をもたらすことになろうとは、きっと誰ひとり思ってなかっただろうなぁ……なんてことを思いながらあらためて読み返してみるのも味わい深いかもしれない。
そして、観光とマンガやアニメ作品との関係も、あんまり露骨に最初から狙うよりは、これぐらいほんのり程度がいいのかも? なんてことも思ったり。
何事も、「あざとい」ってとこまでいかないあんばいが大切ですからね。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。