365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
10月21日は「神風特別攻撃隊」初出撃の日。本日読むべきマンガは……。
『このマンガがすごい!Comics 特攻―太平洋戦争、最後の戦い』
松本零士、本宮ひろ志、滝沢聖峰、松田大秀、やいた克政、もりやてつみ、薮口黒子 宝島社 ¥590+税
71年前の本日は、追いつめられた太平洋戦争末期の日本軍が一計を案じて創設した「神風特別攻撃隊」が初めて空へと飛び立った日。
神風特別攻撃隊は、航空機による体当たり攻撃「特攻」を専門とする部隊である。初出撃は悪天候によりほぼ全機が帰投したものの、その後の出撃で、空母を撃沈する戦果を上げている。
それにより、飛行機や人員が欠乏している日本にとって有効な戦法と認められた特攻は、多くの兵士の命という大きすぎる犠牲と引き換えに、終戦まで行われ続けた。
本作には、そんな時代が生んだ悲劇である特攻をテーマとした作品たちが、全部で7作収録されている。
作家陣は、松本零士、本宮ひろ志という超大御所から、滝沢聖峰、松田大秀、やいた克成、もりやてつみ、薮口黒子という実力派までを揃えた豪華なラインナップ。
冒頭を飾る、松本零士の「音速雷撃隊」(93年にOVA作品『ザ・コクピット』内の一編としてアニメ化もされている)を筆頭に、作家陣がそれぞれの目線で描いた特攻は一見の価値あり。
そんななかで異彩を放つのは、2作目として収録されている本宮ひろ志の「島崎二飛曹 失速す!」だ。表紙にて抜粋されているコマの感情ほとばしる表情から、熱い男のドラマを想像しがちな本作だが、特攻を拒否する主人公が最後にとった選択を見た後では、作品への印象は180度変わるはず。
時代が違えば生を謳歌できたはずの彼らが、生と死が交錯する戦場で最後に下した決断の数々を、ぜひその目に焼きつけてほしい。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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