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12月19日はトルコ風呂がソープランドに改称した日 『匿名の彼女たち』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/12/19


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

12月19日はトルコ風呂がソープランドに改称した日。本日読むべきマンガは……。


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『匿名の彼女たち』第3巻
五十嵐健三 講談社 ¥562+税


1984年12月19日、東京都特殊浴場協会は「トルコ風呂」を「ソープランド」と改称することを発表した。

平成生まれのヤングたちには信じられないだろうが、80年代前半までは「トルコ」=「ソープ」の意味合いで使われていたのだ。当時の紳士たちは「トルコ」と聞けば「共和国」でなく「お風呂」のほうを想像するのが当たり前。ルートコなんていう業界用語を使う殿方もおりました。

なぜ、現在のソープランドがトルコ風呂と呼ばれていたのか。
『乙嫁語り』第7巻にも描かれていたが、もともとトルコの公衆浴場は女性の社交の場として活用されていたのだ。
そこで男女がどうこうという行為があったわけではないが、トルコの公衆浴場=女の園というハーレム的なイメージがひとり歩きし、いわゆる特殊浴場が「トルコ風呂」と呼ばれるに至ったのだ。

自分のたちの国名が性風俗をイメージさせるなんて、トルコの人たちにとってはたまったもんではないが、日本に留学していたトルコ人のヌスレット・サンジャクリさんが、1984年に渡部恒三厚生大臣(当時)に名称変更を直訴するまで、20年以上にわたってトルコ風呂という名称は存在し、お茶の間レベルまで浸透していたのだ。

1985年の風営法施行を目前に控え、イメージアップを図りたかった特殊浴場協会は、ヌスレットさんの直訴をきっかけとした改称運動を受け入れる形でスポーツ新聞などに新名称募集の広告を打つ。
その結果、12月19日に「ソープランド」という造語が誕生する運びとなった。ちなみにこの名前を考えたのは特殊浴場利用経験のない、24歳のサラリーマンだったそうだ。

あれから30年以上の時が流れ、すっかり定着したソープランドという名称。
湯船のある個室で女性が男性に性的サービスを行う……というトルコ風呂時代からの基本スタイルは変わらない。ただ実際にどういう流れで“くんずほぐれつ”が行われるかというのは、風俗未経験者、ビギナーの方々にとって気になるところだろう。

そこで紹介したいのが五十嵐健三が「ヤングマガジン」で不定期連載をしている『匿名の彼女たち』。
33歳のサラリーマン・山下が、全国の色街をめぐりながら、さまざまな女性たちと一期一会を果たしていくロードムービー的味わいの風俗叙情詩だ。

風俗系のマンガというと、実話誌などに掲載されているドギツいルポを想像される諸兄も多いと思うが、本作はエロさ控えめで、むしろ嬢たちの胸のうちを少しだけ垣間見ることに主眼が置かれている。

3巻収録の第27話では日本最大のソープ街「吉原」に山下が赴く。夏のボーナスを使って高級店で楽しもうという腹だ。
高級店だからして、お相手のいずみ嬢もゴージャスで大満足の山下だったが、22歳というプロフィールはさすがにウソだと見抜いていた。「せいぜい27~28歳かな~」と思いつつ店を後にして、日暮里でビールをあおっていると、背後から吉原の嬢グループらしき会話が聴こえてくる。なんでも先ほどまで山下が遊んでいた店には、22歳と偽る40代の嬢が存在するらしい。
とたんに疑心暗鬼になる山下……。

紳士たるもの、こういったミステリーも含めて楽しめないといけませんね。
ちなみにこの手のサバ読みを「吉原年齢」と言うのだとか。うーん、勉強になります。



<文・奈良崎コロスケ>
マンガと映画とギャンブルの3本立てライター。中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしている。著書に『ミミスマ―隣の会話に耳をすませば』(宝島社)

単行本情報

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