日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『10万分の1』
『10万分の1』第1巻
宮坂香帆 小学館 ¥429+税
(2016年1月26日発売)
著者の前作『あかいいと』のスピンオフ作品。『あかいいと』のヒロインの友人である桜木莉乃が、本作のヒロインだ。
『あかいいと』も読んでいた筆者としては、愛着のあるキャラクターである莉乃が、どのような恋愛過程を踏んでいたのかは、とても興味深い。
莉乃は、密かに中学時代から仲よしの桐谷蓮に想いを寄せている。しかし、今まで築いてきた関係が崩れるのを恐れ、告白できないでいた。そんな時に、桐谷が気のあるそぶりを見せてくる。桐谷にデートに誘われ戸惑う莉乃だが……。
桐谷は、特別な女の子だけに優しくする硬派な男の子だ。そんな彼の積極的なアプローチを受けて莉乃がドキドキするのも当然。好きな人であれ、自分からアクションを起こすのは勇気がいるから、やっぱり女の子としては、男の子からきてほしいものですよね。
そうしていくうちに自分に自信が持てるようになって、恋がどんどん発展していくのではないだろうか。
しかし、すべてが順風満帆に進むわけではない。莉乃にはこのあと、彼女の人生を大きく揺るがす“悲劇”が訪れる。
それはタイトルの「10万分の1」にもかかってくる本作の重大なキーワードで、その瞬間が訪れた時には、はっとさせられる。はたして、莉乃と桐谷は、この悲劇を乗り越えられるのだろうか……。
ネタバレになってしまうのであまり多くは語れないが、せつないラブストーリーが好きな人には、心にぐっとくるものがあるはず。
<文・穂高茉莉>
楽器店店員。『このマンガがすごい!2016』、「このマンガがすごい!WEB」のアンケートに参加中。最近少女マンガのレビューのお仕事もちょこちょこと始めました。