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『歌うヘッドフォン娘』 ぬじま 【日刊マンガガイド】

2016/11/22


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『歌うヘッドフォン娘』


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『歌うヘッドフォン娘』
ぬじま 白泉社 ¥600+税
(2016年10月28日発売)


街にはある噂があった。

通学路、ヘッドフォンをつけ、大きな声でノリノリで歌う女の子。
これがめちゃくちゃうまくて美少女。つけられたあだ名は「ヘッドフォンちゃん」。
噂を聞いた少年・杉山は、ヘッドフォンちゃんを探し始める。
出会った彼女は、自分と同じ剣道部の後輩、鏡花(きょうか)だった。

「ヘッドフォン」ひとつによって、少女は世界から切り離される。
ヘッドフォンをはずせばこちらと同じ次元。会話することも可能。
しかしヘッドフォンをしている最中は外界からシャットアウトされ、その子だけが楽しめる世界に入る。
見ているまわりからすると、少女が何を聞いているのか、どんな曲を楽しんでいるのか、興味を惹かれてならない。これが少女のミステリアスさを引き立て、魅力になる。
特に鏡花の場合は、聞いた曲を美しい声で高らかに歌う、という変換を行い、音楽の世界を増幅する状態になっている。「ハーメルンの笛吹き」に似た力かもしれない。

売れない女性歌手の歌に鏡花がドハマリし、いつも通学路で歌っていたら、町中の人が原曲が気になってCDを買った、というエピソード。
曲を好きだという思いが、彼女の魅力をプラスして伝わった結果だ。

だから町に住む「ヘッドフォンちゃん」のファンは、彼女のプライベートには絶対踏みこまない。近づこうとした時に、完成した今の関係が壊れるからだ。
加えて、スパッツにロングポニーテール、ジャージに竹刀入れと、女の子の魅力ひきたて要素満載。歌だけでなくその見た目にもファンがいる。わかる。

読むと猛烈にヘッドフォンが欲しくなる。
いやあ、彼女のようなキュートな子と世界を共有できる気がして……。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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