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【日刊マンガガイド】 『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』第1巻 竜田一人

2014/06/03


itiehu1

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記 1
竜田一人 講談社 ¥626
(2014年4月23日発売)

東日本大震災後、東京電力福島第一原子力発電所(通称〝いちえふ〟)で実際に作業員として働いた作者によるルポルタージュ・マンガ。2013年10月に、第34回MANGA OPENの大賞受賞作品として「モーニング」(講談社)に掲載されると大反響が寄せられた。そんな話題作の、待望の第1巻である。

サラ金業界を描いた『ナニワ金融道』や日本酒の蔵元を描いた『夏子の酒』、溶接工の『とろける鉄工所』のように、昔から「職業もの」ともいうべきジャンルは人気だ。他業種からはうかがいしれない〝裏事情〟には誰しも興味津々だが、その職場が被災後の原発ともなれば、否が応にも注目度は高まる。福島原発の収束作業は、いずれにしても誰かがやらなければならない仕事なのは事実だ。

本作は、あくまで「現場の作業員目線」に終始しているのが最大の特徴である。どこにでもいそうなオッチャン作業員たちの「日常」が淡々と描かれていく。彼らにとっての「当たり前」は、われわれにとってどれも目新しい。作業着や装備はものすごく厳重だし、被曝線量もこまめにチェックされている。現場に繰り出す作業員たちは、さながら宇宙服を着て船外活動に挑む宇宙飛行士のようだ。なかなか作業が進まずにもどかしくもなるだろうが、読者としては「ご安全に」と願わずにはいられない。

作業員の主人公・竜田一人は「どうせアホなら行けるところまで行って直接この手でネジの1本でも締めて来たいんスよ」と、高線量地域での仕事を望む。しかし、多重下請け構造の現実が立ちふさがり、思うような職場で働けない。このあたりの〝いちえふ〟ならではの特殊性についてもクローズアップされていく。はたして一人は、高線量地域での仕事にありつけるか?

主義や主張は別にして、〝いちえふ〟の実態を知るルポルタージュといえるだろう。


<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。

単行本情報

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