『カノジョは嘘を愛しすぎてる』第15巻
青木琴美 小学館 \429+税
（2014年10月24日発売）

歌うことが大好きな女子高生・理子、通称“マッシュ”。幼なじみの祐一、蒼太とともに組んだバンド“MUSH＆Co.”でメジャーデビュー、期待の新人として華やかなスポットライトの下に躍り出たが……ここからがまさに饒舌なストーリーテラー・青木琴美の本領発揮。
庶民的かつ純真なヒロイン漕ぎ出した芸能界は、まさに魑魅魍魎のはびこるところ!?　表舞台に立つ者も、現場を仕切る裏方も、油断ならない人物ばかり。

女帝と呼ばれる音楽番組のプロデューサー、注目を浴びるマッシュに苛立ちながらもやたらとちょっかいをかけてくるアイドルグループのシバケン。理子のマネージャーでありつつ、彼女がちやほやされることに嫉妬心を隠せない長浜美和子の心の内も気になるところ。
そして、理子の天賦の才能に引っぱられて大舞台にのし上がった祐一と蒼太が直面する、実力社会の現実など、登場人物すべての想いが絡み合い、大きな物語を織りあげていく。

もっともいちばん気になるのは、理子が大ファンであるバンド“クリプレ”の元メンバーで、現在はサウンドクリエイターとして活躍する恋人・秋との関係。
愛する人と“同じ土俵”に乗ることが、恋人関係に影響を与えないわけはなく……次の進展がどんなふうに訪れるのかが目下の注目ポイントだ。

＜文・粟生こずえ＞
雑食系編集者＆ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」