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12月25日はクリスマス 『イエス』を読もう! 【きょうのマンガ】

2014/12/25


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愛蔵版『イエス』
安彦良和 日本放送出版協会 \2,000+税


言うまでもないことだが、12月25日はクリスマス。イエス・キリストの生誕祭である。

しかし、それを商業的に利用したり、しかも世間ではイブのほうが盛り上がったり……ということを、マジメな方々は苦々しく思っていることでしょう。
でも、この「イベント」と化した現状を前面肯定するわけではないにせよ、もしかしたらキリストが生きていた(とされる)時代からすでに彼のことを利用しようとしていた人もいたし、そして人間は愚かだったのかもしれないですよ?

……なんてことを思い描いてしまうのが、アニメ『機動戦士ガンダム』などのキャラクターデザインでも知られる、あの安彦良和の手による『イエス』である。

本作で描かれるのはイエス・キリストが処刑されるまでの数カ月の物語。
キリスト教で「公式」とされるものとは違い、ともに処刑された2人の罪人のうちのひとりを「ヨシュア」という名の弟子と解釈し(ちなみに、キリスト教では「たまたま同じ日に処刑された罪人」とされている)、彼の目線からイエスと12人の弟子たちをリアリズム寄りに描写する、じつはかなり挑戦的な作品。発表されたのが日本でなければ、もっと物議を醸していたかもしれない内容である。

ここでのイエス像は、世俗に縛られた民衆たちに批判的で、確固たる信念と神への信仰を持った人物だが、新約聖書での描写に比べると、非常に人間くさい。
さらに使徒たちは、イエスに認められたいとムダに争い、下の者には威張り散らすような、浅はかな側面が強調されて描かれている。

聖書に登場する有名なエピソードを、著者独自の視点で解釈しつつ、物語は進行するわけだが、なによりも衝撃的なのは「処刑から3日後に復活した」という、現在のキリスト教の根幹ともいえる出来事への解釈。
一般の人なら「なるほど、そういうことか!」と納得できると思うのだが、敬虔な信者の方にはショッキングな内容かもしれない。この結末は、皆さんにも自分の目で確かめていただきたい。

まぁ、ひとつ言えるのは、前述のとおり「キリストを利用しようとする人間の愚かさは、昔も今も変わらないなぁ」ということ。
そしてこの作品が、それほど物議を醸していないあたり、現在の日本のクリスマスでのイエス・キリストの存在感の希薄さと無関係ではない気もします。



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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