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『百合アンソロジー ユリボン』 月子/つばな/平尾アウリ/渡辺ペコ ほか 【日刊マンガガイド】

2015/01/22


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『百合アンソロジー ユリボン』
月子/つばな/平尾アウリ/渡辺ペコ ほか 幻冬舎 \980+税
(2014年12月24日発売)


「また新しい百合アンソロジーシリーズが出たのかな?」と思ったら、どうもこの本、「月刊コミックバーズ」で作者たちがテーマ連作で描いたものをまとめた作品集のようだ。

執筆陣は、百合マンガならおなじみのタカハシマコや平尾アウリから、SF寄りのつばな、ラブコメが得意な草野紅壱と、かなりバラバラ。
装丁が非常に綺麗なので、それぞれの作家の個性を活かしながら、読みやすい1冊にまとまっている。

なかでも注目したいのは、渡辺ペコの「失楽園」。
最初は女2人しかいなかった楽園。ルルはリリと混じってひとつになりたいと、恋をした。
ルルは肋骨を取り出し地に植えた。するとそこから男が生まれた。リリは男とまぐわい、子どもを産んだ。ルルとリリの子どもだ。だがルル本人は、もうリリと一緒にはなれない。
聖書にある、アダムの肋骨からイブが作られたという逆バージョン。はたしてこれは百合なのか?

現在、百合の裾野広がりつつある。厳密に「こうでなければ百合じゃない!」という風潮もなくなってきた。
だからこそ、このような実験的な作品や、つばなが描く珍妙なSF、シモダアサミの描くストーカーじみたフェチズムも「ユリボン」と冠されるアンソロジーに入れることができる。

以前、芸術評論誌「ユリイカ」の百合特集で、『彼女とカメラと彼女の季節』のなかで少女同士の恋慕を描いた月子は、あまり百合という言葉を意識しなかった、と語っていた。
今回のアンソロジーでは、百合という題材のもとで、月子は優しい空気の作品を2本描いている。『彼女と~』と比較しながら読むと、作者の考える「百合」像が見えてきておもしろい。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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