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『こくごの時間』 雁 須磨子 【日刊マンガガイド】

2015/03/02


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『こくごの時間』
雁 須磨子 秋田書店 \680+税
(2015年2月16日発売)


学生時代、国語の教科書に載っていた物語や詩を読解しながら、今の人間模様に重ねあわせたオムニバス作品集。

たとえば中島敦の「山月記」。
詩人になろうとした役人がうまくいかず挫折、彼は山中で虎になって、「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」に苦しみながら一匹で暮らす話だ。
でも反省してなるには、トラって強すぎないか? なぜかわからないまま、ある女性は突然男性にプロポーズされて、破綻したときの記憶をふと思い出す。
2人でいるよりひとりがいい。でも、カフカの『変身』のように毒虫にはなりたくない。ならトラがいいじゃん。

吉野弘の「夕焼け」という詩。
電車の中で年よりが娘の前にやってきて、1回目は席を譲り、2回目は譲れなくなってしまう詩。それを思い出してサラリーマンは「バカだなあ、座らなければいいのに」と満員電車のなかで考える。
ふと近くを見ると、同じように女学生が年よりに席を譲っている。しかし彼女、めちゃくちゃ具合が悪い。あわててサラリーマンは彼女を助ける。
正しかったんだろうか? と悩む彼。後日、彼女は彼に会いにきた……。

国語の教科書は、大人になるとあまり読み返す機会はないだろう。けれども意外と覚えているもの。大人になってからじっくり考えると、新しい発見が多い。
読み終わったあとに、自分の今の生活を、国語の時間に習った物語とつい重ねたくなる作品。
一番最後には、ヘッセ『少年の日の思い出』のコミカライズが載っている。これは自分と重ねて考えたことがある人が多いかも?



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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