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『昭和元禄落語心中』第8巻 雲田はるこ 【日刊マンガガイド】

2015/09/09


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『昭和元禄落語心中』第8巻
雲田はるこ 講談社 ¥581+税
(2015年8月7日発売)


2016年1月からテレビアニメ放送もスタートする本作が描くのは、落語というものが持つ、笑いのなかに見え隠れする人間の悲しみや切なさ、愚かさや美しさ。

雲田はるこ『昭和元禄落語心中』は、その見え隠れする部分をいとおしく沁み入るように描き出している一作だ。
様々なキャラクターとあわせて、そこに魅力を感じている読者も多いだろう。最新刊8巻では、悲哀の色合いがよりいっそう強まる出来事が起きる。

刑務所の慰問公演で聞いた、八代目有楽亭八雲演じる落語「死神」に感動して、昭和最後の大名人である彼に弟子入り志願をした元チンピラの与太郎。
これまで弟子は取ってこなかった八雲だが、なぜか与太郎を受け入れることに。そのなかで与太郎は、夭逝した伝説の天才落語家・助六と、彼の影を追いながらひとり落語界に残された八雲の因縁噺を知る。

やがて与太郎は、真打へと昇進して三代目助六の名を継ぎ、八雲の養女である子夏と結婚。しかし、落語は下火の時代へ。
そんななか、与太郎と八雲は親子会を催すが、そこで八雲は倒れてしまう。病院で目覚めた八雲は、「引退」を宣言。それを知った与太郎は……。

八雲が口にした引退という2文字をめぐって浮かび上がる、それぞれの心の機微。そこが8巻の読みどころだ。
そこで八雲がぶちまける、彼の心の底。ネタバレとなってしまうのでここでは書けないが、芸人の業とプライドを感じさせるその言葉のひとつひとつの重みに、ぞくぞくとさせられる。

また、与太郎が起こす行動と彼が八雲に対して口にする言葉も、胸を打つものだ。
トピックとしては大きな出来事が描かれるが、静かな深みを感じさせる第8巻。この展開が落語で言う上げ(フリ)となるのか、下げ(オチ)となるのか。
今後と9巻の発売が、今から待ちきれない。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が3月14に発売に。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。

単行本情報

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