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『黄門さま~助さんの憂鬱~』第6巻 徳弘正也 【日刊マンガガイド】

2015/09/15


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー! 今回紹介するのは『黄門さま~助さんの憂鬱~』。

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『黄門さま~助さんの憂鬱~』第6巻
徳弘正也 集英社 ¥562+税
(2015年8月19日発売)


あの“水戸黄門”を題材にした、徳弘正也の時代劇ギャグ『黄門さま~助さんの憂鬱~』が最新刊6巻で完結を迎えた。

水戸光圀の諸国漫遊世直し旅に加わることになった、剣豪ながら貧乏侍の井上進ノ助。
彼は「助さん」として黄門さまの警護にあたるが、じつはこれまでにも歴代の助さんはいて、彼らは道中で命を落としてきていた。
それというのも、黄門さまの旅は世直し目的などではなく、スリルと興奮を求める老人の戯れで!?

そう、本作の黄門さまは、人を人とも思わない、傲慢で気分屋でブラックな迷惑爺。
そんな光圀に振り回されることになるが、進ノ助こと助さんも大したタマ。女には弱いがじつは切れ者だけに、光圀を立てて乗せつつ、うまくいなして……と、いつの間にやらご一行はいいチームに!?
そんななかで、光圀を疎む徳川綱吉と柳沢吉保によって、光圀の暗殺命令が下される。はたしてそのとき、助さんは? そして当の光圀自身は……。

もちろん本作はギャグマンガだが、そこはストーリーテリングに定評ある徳弘正也。
史実の人物や出来事がうまく笑いに昇華されていたり、いっぽうで笑いのなかに社会性やドラマ性があったりと、とにかく笑わせて、かつ読ませてくれる。
下品……だけれどけっして下劣じゃない、作者ならではの下ネタももちろん満載だ。

ひとつネタばらしをしてしまえば、本作の最後に描かれるのは旅の終わりではなく、そのうちの一端のエピソード。
大阪を舞台とした、井原西鶴も登場する遊女絡みの人助け話となっているが、いや、これが泣かせてくれる。
そして語られる、あっけない幕切れと、それだけに残る余韻。徳弘正也はやはり名手だ。

今からでも遅くない。こんなにおもしろいマンガがあったんだと驚きたい人も、楽しみたい人も、ぜひ全6巻を手に取ってみてほしい。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が発売中。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。

単行本情報

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