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『あたしンち』第21巻 けらえいこ 【日刊マンガガイド】

2015/11/02


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『あたしンち』


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『あたしンち』第21巻
けらえいこ KADOKAWA ¥854+税
(2015年10月2日発売)


「日曜日の朝」って、なんかいい響きですよね。

日曜日が休みではない種類の大人になったけど、それでもやっぱり特別だ、日曜日の朝。朝の電車も空いてて、すがすがしいじゃない。
新聞の日曜版で連載されてきたからか、『あたしンち』には、“日曜日の朝に読むマンガ”っていう空気感がすご~くあると思う。
“お客さまアンケート”、なんて書いている? とか、冬に家族でナベを囲んだあと、父親が毎年同じこと言うんだよね~とか。

女子高校生のミカンちゃんと、中学生のユズヒコ、パワフルな母、無口な父の暮しには、だれの暮しにも重なるあれこれがいっぱい詰まっている。「あるある!」とか「う~ん……」とか「そうなんだよねぇ」とか、なんでもないようなんだけど、見すごせないでこぼこが優しく描かれている。

あるがままの暮しのなかで、ふっと一息つく時間をくれる『あたしンち』。
家族みんなが何をするでもなくすごす日曜日の朝に、『おそく起きた朝は…』とか見ながら、新聞の日曜版をぺりぺりめくるのって、なんかいい。「お昼はサッとうどんでもゆがこうか」「え~またうどん?」とか言い合いながら。
そういうなんでもない時間に、そっと寄り添い続けてくれた『あたしンち』。

1994年から約18年間、読売新聞日曜版に掲載され続けた『あたしンち』、この21巻が最終巻だ。
手にとってみれば、大事に大事につくられた本なんだとわかる。絶対わかる。
最終巻の表紙を飾るお母さんの笑顔がすがすがしくて、ちょっと切ない。でも、特別じゃない私の暮しをすくいとってくれて、ありがとうって言いたくなる。

もしや! マンガ界の『日曜日よりの使者』は、タチバナ家のお母さんなんじゃないの?



<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。

単行本情報

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