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1月23日は万国阿片条約(ハーグ阿片条約)が調印された日 『爆末伝』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/01/23


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

1月23日は万国阿片条約(ハーグ阿片条約)が調印された日。本日読むべきマンガは……。


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『リイド文庫 爆末伝』上巻
石川賢 リイド社 ¥571+税


1912年1月23日、オランダのハーグにて開かれたハーグ国際阿片会議で「万国阿片条約」が調印された。 これは史上初の薬物統制に関する世界的規模の条約で、アヘンをはじめモルヒネ、ヘロイン、コカインと自然物に由来する多くの麻薬がその対象となった。

薬物に対する国際的な取りくみが始まった背景には、1840年に勃発した「アヘン戦争」があった。
当時イギリスは清国(中国)にアヘンを密輸出しており、アヘン使用者の急増を憂えた清国は極端な禁輸政策に走った結果イギリスと交戦、大敗を喫することになる。
アヘン戦争における清国の敗北はヨーロッパ諸国の極東進出を後押しするかたちとなった。特に上海は開港させられ、実質的に植民地化されてしまう。

そんな上海や欧米諸国を幕臣・勝海舟の命によって視察し、帰国後は彼の用心棒兼アドバイザーとして諸外国とのかけひきにあたる下野(しもつけ)浪人・馬並平九郎の活躍を描いたアクション巨編が『爆末伝』だ。

平九郎はとにかく型破りな男。
みずからを身分制度から解放された「自由人(フリーマン)」と称し、徳川の旧臣としてせめて新政府軍に一矢報いたいと願う信州・小栗藩の藩士たちにもビジネスライクな話をストレートにぶつけてくる。

小栗藩士にして無双新流の剣の使い手・田村新八郎は、平九郎の礼儀知らずで無遠慮な言動がしゃくにさわるものの、尊敬する勝の手前、武器の買いつけに同行することに。
この商売相手が上海をアヘン漬けにしてわが世の春を謳歌するイギリス人。金額交渉の場で日本へのアヘン密輸ルートを作れ、と言ってくる貿易商人に勝海舟と新九郎の怒りは爆発。交渉決裂した幕臣を官軍に引き渡そうとした瞬間、平九郎のガトリング砲が火を噴く!

物語は、なかば強奪するかたちで手に入れた武器を横浜港から小栗藩まで運ぶ道中を、石川賢お得意のノンストップバイオレンスアクションで濃密に描く。
同じ師から兵学や西洋学を学んだかつての同門で、今や官軍の走狗となった暗殺者・人斬り梅乱や長州の智将・大村益次郎そして日本の植民地化を目論む真の敵・イギリス海軍のロビンス伯爵といった強敵が立ちはだかるなか、平九郎一行は巨大な5人乗り武装バイクを駆って信州を目ざす。

崩壊寸前の幕藩体制のなかで海外の侵略から日本のアイデンティティを守るため必至にあがく男たち……。
荒唐無稽なトンデモ幕末マンガだが、そのアツい魂だけは本物。この機会にぜひお読みいただきたい。



<文・富士見大>
編集・ライター。『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、『月刊ヒーローズ』(ヒーローズ)ほかに参加する。『別冊宝島2394 仮面ライダー』「仮面ライダードライブ公式完全読本」もやってます。

単行本情報

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