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『偽書ゲッターロボ ダークネス』第4巻 永井豪/石川賢(作)西川秀明(画) 【日刊マンガガイド】

2014/12/21


GishoGETTER_s01

『偽書ゲッターロボ ダークネス』第4巻
永井豪、石川賢(作) 西川秀明(画) 白泉社 \514+税
(2014年11月28日発売)


「本気のマガイモノを見せてやる!!」
――このセリフに西川秀明氏の本気がみなぎっていた本作。

『ゲッターロボ』は、ダイナミックプロ作品でありながら、永井豪よりも石川賢の名前と深く結びついたシリーズだ。笑いながら狂気の扉を開け、嵐のような暴力と神をも喰らう進化をラッパ飲みしていた、ケン・イシカワである。
そんな怪物の後を正気で追っても、しょせん怪物のフリ。『ゲッター』のスピンオフは、本家にどう立ち向かえばいいのか? 似せようとさえしない、全力を賭けたマガイモノしかない!

『ダークネス』のキャラは、本家の原型を留めていない。銀髪のハヤトや女体化したムサシも、西川キャラそのもので、まるでスーパーロボットに乗った『職業・殺し屋。』たちである。
作者がナマの自分で勝負しているさまは、石川ゲッターが腹を引き裂いてゲッター炉を取り出したようだ。

敵はゲッター線で進化した元人類のイデア、主役ロボは人間の怒りの感情に反応するアンチゲッター線の落とし子。
従来と善悪が裏返った「偽書」だが、勧善懲悪を貫いた『Z MAN』の延長にあって、作家・西川秀明的にはホンモノである。
そして、エロにおいては本家を超えた。石川版もヤルことはヤッてたが食後の運動じみてた。こちらは青年誌の基準に照らして、まっとうにエロい。淫乱をむさぼる邪悪に正義の怒りを燃やすストーリーにも、しっくりくる。

了がゲッターの闇の本性を引き出し、ハヤトが狂気を制御し、ムサシの出生の秘密が暴かれてゲッター3が力を開放する――真の意味でゲッターチームがそろったところで、諸悪の根源である早乙女賢に迫れずに、ジ・エンド。
「ヤングアニマル嵐」での連載が「第一部完」で終わった後も、連載再開が告知されていたが、この第4巻が最終巻となってしまった。『ゲッター』シリーズに付きまとう「打ち切りエンドの呪縛」も、ドリドリと突き破ってほしかった……。



<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』『超ファミコン』(ともに太田出版)など。

単行本情報

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