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『氷上のクラウン』第1巻 タヤマ碧 【日刊マンガガイド】

2016/04/16


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『氷上のクラウン』


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『氷上のクラウン』第1巻
タヤマ碧 講談社 ¥600+税
(2016年3月7日発売)


スポーツの世界は日進月歩。
たとえばフィギュアスケートでは、ちょっと前までトリプルアクセル(3回転半)が最高の技と思っていたのに、今や男子フィギュアでは4回転なくして世界では戦えないといわれるほどだ。

フィギュアスケートのジャンプは6種類。難度が低い順からトゥループ、サルコウ、ループ、フリップ、ルッツ、アクセルで、得点も違ってくる。
これはジャンプする時の態勢や踏みきる足などの違いによるものだ。

本作の主人公・麻生優馬は、4回転ジャンプでもまだ世界でだれも成功させていないクワドラブルアクセル(4回転半)をキメることに情熱を燃やす中学3年生の少年だ。
もちろんフィギュアはジャンプだけが勝負ではなく、スピンやステップ、表現力、すべてがそなわっていてこそ頂点を目指せる競技。
日々、それをコーチが口を酸っぱくして言っても、やっぱり優馬はクワドラブルアクセルにこだわるのだ。

そんな優馬を複雑な想いで見つめるのは、高校1年生の遠野いぶき。
天才スケーターだった亡き母に近づかなくてはというプレッシャーから自分のスケートを見失い、スランプに陥った時期のある彼女にとって、ミスを恐れずに挑戦する優馬は心を波立たせる存在で……。

その向こうにある世界選手権を見すえながら、2人は全日本選手権に臨む。
2015年のNHK杯で羽生結弦選手がショートとフリーで計5回の4回転を成功させ、322.40点という世界最高得点をたたき出して優勝したのは記憶に新しい。
そんな羽生選手もクワドラブルアクセルを練習中というが……達成するのは優馬とどっちが先!?

前人未踏の領域に達する瞬間を、一刻も早く見たいものだ!



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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