2017年4月10日、世界中に衝撃をもたらした、日本の国民的ヒロイン・浅田真央選手の引退宣言。
若干15歳にして、ISUグランプリファイナル優勝を成し遂げた氷上のバレリーナが、26歳で競技生活に幕を下ろす。
5歳でスケートを始め、華麗なジャンプとステップだけでなく、その愛くるしい容姿と人間性で世界中から愛された真央ちゃん。
2014年のソチオリンピックでの失意のショートプラグラムから、感涙のフリープログラムへの復活には、多くのファンが心を揺さぶられたはず。
真央ちゃんをきっかけに、フィギュアスケートの世界に足を踏みいれたファンは、真央ちゃんのこれからの明るい未来を祈りながらも、しばらくは「真央ロス」に打ちひしがれてもしかたがないでしょう。
そんなわけで、みなさんと同じく、「真央ロスなう」な「このマンガがすごい!」編集部スタッフ・めいりーが、(編集長の目を盗んで、)真央ちゃんのこれまでの名演技を振りかえりながら読んでほしい、「フィギュアスケート」マンガを特集します!
真央ちゃん、たくさんの感動をありがとう! 本当にお疲れ様でした。
第1位 氷上のバレリーナがソチの舞台へ
『モーメント 永遠の一瞬』槇村さとる
『モーメント 永遠の一瞬』第2巻(既刊6巻、以下続巻)
槇村さとる 集英社
日本にフィギュアスケートブームが訪れるずっと前、1970年代からすでに『愛のアランフェス』『ヒロインの条件』『白のファールカ』といった名作を生み出し続けている槇村さとる先生の最新作。
のちにソチオリンピックに出場することになる天才少女・北原雪のスケート人生を描いています。
第1話で、いきなり雪がソチの舞台で滑っているところからスタートしますが、すぐに雪が10歳頃の回想に入るんです。
なんと雪は、10歳の時すでにトリプルアクセルが跳べていた!?(す、すごすぎます……!)
雪はスケートのレッスンのため、お母さんと2人札幌から東京へ引っ越すことを決めます。(パパ、ごめんね!)
さっそくスケートクラブの先生方の目にとまった雪は、選ばれた一部の選手しか参加できない強化合宿に参加できることに。(順風満帆ですっ)
合宿に向けて練習に励む雪は、同じリンクでアイスホッケーの練習をしているクラスメート・大也(ダイヤ)や、同い年の男子フィギュアスケーター・睦月(通称:むっちゃん)と仲よくなったりしながら、スケートもどんどん上達していって……さすがは天才少女ですっ。
さらには、「メダリストメーカー」と呼ばれる有名な大関先生が選任コーチとして教えてくれることにもなりました。
その大関先生ですが……コーチとしての腕はたしかなようだけど、ダイヤはあまり信用していないみたい。大関先生には何か裏があるの!?(雪、気をつけて!)
雪がソチオリンピックの舞台に立つまでに、これから何が待っているのか……最後まで目が離せません!
天才少女の伝説はここから始まった!?
第2位 日本の若きエースがヘタレでオタク!?
『銀盤騎士』小川彌生
『銀盤騎士』第5巻(既刊10巻、以下続巻)
小川彌生 講談社
本作に登場するスケート王子は、日本男子フィギュアスケート界の絶対的エースとして君臨し続けていた棚橋伝輔の引退後、若きエースとして台頭した東北出身の天才スケーター・雉子波心(きじなみこころ)。
なんだか、高橋大輔さんと羽生結弦選手を連想してしまう設定ですよねっ。
しかし、心には人には言えない重大な秘密があって……。
大好きなアニメ「魔法の姫君 レディ・ララ」の呪文をかけてもらわないと、心は、4回転ジャンプを飛べないのです。(しかも、かなりのオタク!)
なので、大きな試合の前はいつも、小さな出版社で健康情報誌「SASSO」の編集をしている幼なじみ・猪狩千登勢(いがりちとせ)に魔法をかけてもらっていました。
しかしある時、千登勢のブラジル出張と、カナダで行われる大きな大会が重なってしまい……。
なかなかそのことが言えない千登勢は、疲れもあって風邪でダウンしちゃいます。心がお見舞いにきてくれた際に、勇気をふりしぼって付き添えないということを、なんとか伝えました。
すると心は、アニメでララがステッキを封印されたときに使った別の魔法、キスをしてきて!?(マスク越しとはいえドキドキ!)
魔法もかかってこれで安心……かと思いきや、予想外の事件が起こります!
心はミスの連続で、ショートプログラムが終わった時点で、なんと最下位に。
魔法はかかったはずなのに……もしかして、試合直前に電話をかけた千登勢が、「SASSO」の編集長と仲よさげだったから!?
心のスケーターとしての活躍はもちろんですが、心と千登勢の関係がどのように進展していくのかにも注目ですっ。
【日刊マンガガイド】での紹介はコチラ!
魔法の呪文で4回転ジャンパーに!
第3位 フィギュアスケートの魅力にとりつかれた“スケオタ”の生態とは!?
『スケオタデイズ 戦慄のフィギュア底なし沼』グレゴリ青山
『スケオタデイズ 戦慄のフィギュア底なし沼』
グレゴリ青山 KADOKAWA
2013年、日本で行われた四大陸選手権を生観戦したその日から、どっぷりフィギュアスケートにはまってしまった作者が描くコミックエッセイ。
会場の緊張感や、ジャンプの際の氷のすれる音など、生観戦だからこそ味わえるフィギュアスケートの魅力が満載です。
世界選手権などの大きな大会は、とくにチケットの入手が困難のため、当たったらもうハイテンション!
チケットが当たるように、応援している選手の演技がうまくいくようにと断酒までしてしまう……そんな“スケオタ”たちの選手への深すぎる愛情がコミカルに描かれていて、スケートに興味がなくても、そのオタクっぷりを見ているだけで楽しい気分になれます。
とくに、ソチオリンピック代表を決める日本選手権の観戦記は必見です!
鈴木明子さんのショートプログラム「愛の賛歌」、そして高橋大輔さんのフリープログラム「ビートルズメドレー」。それぞれのスケート人生の集大成といえる名プログラムを、グレゴリ青山先生が愛情たっぷりに描いています。
点数や順位だけでははかれない、あの瞬間の感動がよみがえってくるようで、また実際の演技を観たくなってしまうこと間違いなし!
いまや大人気スポーツといえるフィギュアスケートですが、一度チケット争奪戦に参戦して、天国と地獄を味わってみるのもいいかも……なんて思いましたっ。
初めての生観戦は夢とロマンがいっぱい!