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『「おそ松くん」とアカツカ怪作劇場』 赤塚不二夫 【日刊マンガガイド】

2016/04/21


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『「おそ松くん」とアカツカ怪作劇場』


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『このマンガがすごい! comics 「おそ松くん」とアカツカ怪作劇場』
赤塚不二夫 宝島社 ¥690+税
(2016年4月21日発売)


逃げ切り世代の先輩方、笑いを忘れていませんか?
働き盛りの30~40代、上から下からと板挟みで疲れていませんか?
ティーンズや20代、むやみやたらイライラしていませんか?

そんなときの処方箋が、赤塚不二夫マンガだ。
え、赤塚をよく知らない? あらみなさん、もったいない。
昭和の古き時代、ニッポンNO.1のギャグ漫画家として君臨したのが赤塚不二夫、その人。『天才バカボン』を描いた奇人といえばおわかりだろう。

本作は、バカボンはもちろん『おそ松くん』や『もーれつア太郎』といったアニメ化された作品のみならず、タイトルからして狂っている『くそババア!!』、著者自身が大好きだったという『レッツラゴン』と、ギャグの王様のいいところどりなのだ。

『おそ松くん』からは、主役の六つ子を差しおいて、まさかの主人公気取りのイヤミ作品群、『天才バカボン』からは「オ○ンコ」なんていう仰天タイトルやギャラによって「松竹梅」と描き分ける漫画家の話、『レッツラゴン』からはメインキャラのクマ(ベラマッチャ)が自分の足をうまいうまいと焼いて食べるキョーキの笑い作品などを収録。

マンガそのものだけでなく、カラーの口絵には、ボディブローよろしく徐々に効いてくる妙なトビラ絵や「六つ子」のコピーが貼られた原作など、疲れた脳みそを一本棒でつらぬく笑いの世界が全開。
腹いっぱいに笑えることうけあいだ。

これらはきっと、赤塚センセイが「バカのはんた~い!」で「けがれのはんた~いの心を持っていた」からこそ描けた笑いの一本道、その一端である。
放送禁止に自主規制、下品だのなんだのいう小うるさいジョーシキ人などおいといて、おりこうさんはこれを読もう。
かつて読んだというオジサンさんたちも、本作を読めば童心に戻れるチャンス。

ひょっとして、赤塚マンガに生きるヒントもあったりして。あ、でもそんな大げさな話、センセイは望んではいないんだろうな。
そうそう、お受験に悩む全国の子どもたちよ、母ちゃんや父ちゃんにナイショで赤塚マンガを読むべし! 本作の意味がちょこっとわかれば、人生、電力自由化よりも明るくなるのだ。



<文・田口学>
72年生まれ。宇宙科学、生物、美術、実用書、鉄道にギャンブル、さらにマンガ……と何でもありすぎ編集&ライター。節操がないのがたたったか、マンガも小説も読むのが遅くなったのが悩みの種。

単行本情報

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