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TVアニメ『おそ松さん』レビュー! 全国の(一部)女子を魅了しつづける超人気・6つ子たち、子ども時代の見分け方の決め手は「カカトの味」だった!?【あのアニ】

2016/02/23


「あの話題になっているアニメの原作を僕達はじつは知らない。」略して「あのアニ」。

アニメ、映画、ときには舞台、ミュージカル、展覧会……などなど、マンガだけでなく、様々なエンタメ作品を取り上げていく「このマンガがすごい!WEB」の新企画がスタート!
そう、これは「アニメを見ていると原作のマンガも読みたいような気もしてくるけれど、実際は手に取っていないアナタ」に贈る優しめのマンガガイド。「このマンガがすごい!」ならではの視点で作品をレビュー、そしてもちろん、原作マンガやあわせて読みたいおすすめマンガ作品を紹介します!

今回紹介するのは、『おそ松さん』

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ひらりひらりも隙のうちと~ 
かけこみ すべりこみ うっとり~♪

……と、この歌いだしを見れば、もう頭のなかで第1クールのオープニング曲「はなまるぴっぴはよいこだけ」(A応P)がリフレイン。6つ子が主役の爆裂的人気アニメといえば、ご存じ『おそ松さん』だ!

2015年秋に放映開始以来、予測不能の怒濤の展開と、息もつかせぬハイテンションぶり、くわえて奇跡のごとき豪華声優陣で、中毒患者があとを絶たず。「で、キミの推し松はだれ?」がもはや挨拶時の決まり文句となる、社会現象まで巻き起こしている(……とかいないとか)。
アニメ『銀魂』でもおなじみの監督・藤田陽一のもと、人情、不条理、一発ギャグがこれでもかと詰めこまれ、笑いにお涙、愛嬌もたっぷりの本作は、2016年が明けてからの第2クールも、言わずもがなの絶好調である!

そもそも『おそ松くん』とは、松野家の6つ子の小学生、おそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松が繰り広げるホームコメディ。
イヤミやチビ太といった個性的なサブキャラまでが、一話ごとにまったく異なる世界観の話を展開するなど、自由な設定とオマージュに満ちた革新的なマンガであり、赤塚不二夫がギャグマンガの第一人者として花開くきっかけとなった作品だ。 その内容は、抱腹絶倒モノから、心にぐさりと刺さって思わず涙する回まで幅広く、当時の読者を夢中にさせた。

定職につかず、自由気ままに日々をすごす6つ子たち。社会とか体裁とか……まあ、いまはいっか!

定職につかず、自由気ままに日々をすごす6つ子たち。社会とか体裁とか……まあ、いまはいっか!

2015年、赤塚不二夫生誕80周年をむかえ、それを記念して金字塔的ギャグマンガがこのたび、1988-89年に放送されたアニメ第2作から、じつに27年を経て復活した(ちなみに第2作目のアニメも制作はスタジオぴえろ)。
とにもかくにも小学生だったおそ松“くん”が20歳を過ぎて成人、おそ松“さん”へと華麗なる成長を遂げる大胆設定には、最初は誰もが驚かされたはず。
6人そろってだめだめニートなうえ、「就活」「合コン」「アイドルオタク」など今風キーワードをきっちり盛りこみ、「カワイイけど少し毒のあるような色使い」(キャラクターデザイン・浅野直之談)によってポップで印象的に、けれどどこか皮肉っぽく社会を風刺。やってくれるざんす!

さらに! 今作では初めて長男から六男までの順番がすべて設定された。
また精細な性格設定も見事で、6人全員かぶることなく、それぞれに魅力的ときている。あえて6人の共通点をあげるとすれば、そろって「クズ」という一点のみ(これは褒め言葉として受けとめたい)。誰もが主役を張れる圧倒的個性が、一話完結型のストーリーに幅と深みを与えている。

つらい時も、悲しい時も、楽しい時も、そして寝る時も一緒! ……いやさすがに20歳超えて一緒もどうなの?(まあいっか!)

つらい時も、悲しい時も、楽しい時も、そして寝る時も一緒! ……いやさすがに20歳超えて一緒もどうなの?(まあいっか!)

そんな憎めない「ニートたち(by 松野家母)」がくり広げる、芸術的なまでにぶっ飛んだドタバタ劇は、設定なぞにとらわれず、次回どころか次の場面の展開すらまったく読めない。 ハチャメチャな話もあれば、うるっとくる深イイ話もある。イタイキャラもいれば、ブラックな笑いもある。
何かとうるさい現代社会を顧みず、数々の冒険や実験が散りばめられた果敢な作風は、往年の赤塚不二夫を彷彿とさせ、よくぞここまでのびのびと制作してくれたと感激もひとしお。そう、赤塚マンガは、これでいいのだ!

原作を読めば、また数倍楽しめる「おそ松さん」。
2クール目も残りわずかとなってきたが、まだまだ、週に1回テレビの前で、6つ子のニートたちに振りまわされ、全力バタンキューの日々が続きそうだ。

さあ! キミはだれが、どの“松”か、はたして見極められるかな!?(アレ……一番左の人は……?)

さあ! キミはだれが、どの“松”か、はたして見極められるかな!?(アレ……一番左の人は……?)

そうそう、まだ「おそ松さん」を見たことがない人、見逃した回がある人、そして手元に永久保存したい人に朗報です!
完全新作アニメーションや映像特典も収録の「おそ松さん」BD&DVD 第一松が好評発売中。さらにBD&DVD最新の第二松が2月26日(金)発売されるのだ! 
さっそく手に入れて、家族や友人とハッスルハッスル!!
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『おそ松さん』のアニメを観たあとは……

みなさん、アニメレビューは楽しんでいただけましたか?
次はいよいよ、みなさんお待ちかねのオススメマンガの紹介です!
ここはやっぱりもちろん、原作マンガの『おそ松くん』をご紹介しちゃいますっ♪

『竹書房文庫 おそ松くん 完全版』赤塚不二夫

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『竹書房文庫 おそ松くん 完全版』第1巻
赤塚不二夫 竹書房 ¥600+税

アニメで初めて『おそ松くん』を知ったみなさんにも、原作にはルーツとなるシーンが盛りだくさんなので、ぜひチェックしてほしい!
たとえば、よくアニメで六つ子が銭湯へいき背中の流しっこをするシーンがあるが、『おそ松くん』でもこのシーンは登場し、子どもの頃からの習慣だということがわかるし、アニメ第8話で、6つ子のアイドル・トト子ちゃんがカラ松に「必殺のボディーブロー」をくらわせているが、原作でもそのシーンが登場する(しかもトト子ちゃんにはボクサーの兄がいる!)。

しかし20歳を超えた彼らは個性バリバリだが、子ども時代は一切見分けがつかないという点にも注目してもらいたい。現在の十四松が「あんなふう」になったのは、高校デビューが原因だったとアニメ『おそ松さん』では推測されていたが、そのほかの6つ子たちも紆余曲折があったに違いない。そう思わせるほど、『おそ松くん』時代の彼らに差はあまりないのだ。

だが、そんな彼らの違いを暴いた話がひとつある。というのも、『竹書房文庫 おそ松くん 完全版』第2巻20話収録「六つ子をつかって動物実験」という話。ある博士が六つ子を研究したいといって彼らを調べるのだが、おそ松とトド松は「ひねくれ者」だということがわかったり(それ以外はすなおなバカ)、それぞれでカカトの味が違うという、とんでもないことが判明する!
ちなみにどんな味かというと、「チョロ松=しょっぱい」「カラ松=からい」「トド松=にがい」「一松=あまい」「おそ松=わからない」……など、結局見分けるためには何の役にも立たないネタだったのだが。
さて、高校デビューをはたし、破滅的なバカとなってしまった十四松のカカトはどんな味がしたのか……それはぜひ、あなたの目で確認してもらいたい!

原作『おそ松くん』もやはり、ひとすじ縄ではいかない! アニメをもっと楽しみたければ、彼らの「過去」であり、「原点」でもある『おそ松くん』をチェックしよう!


アニメ情報:『おそ松さん』

■放送情報
2016年1月4日より 毎週月曜25:35から
第2クールがテレビ東京ほかにて放送

※放送時間は予告なく変更になる場合がございます。

■スタッフ
原作:『おそ松くん』 赤塚不二夫/「週刊少年サンデー」(1962年~1969年)、「週刊少年キング」(1972年~1973年)、「コミックボンボン」(1987年~1990年)ほかで連載
監督:藤田陽一
シリーズ構成:松原秀
キャラクターデザイン:浅野直之

■キャスト
おそ松:櫻井孝宏
カラ松:中村悠一
チョロ松:神谷浩史
一松:福山 潤
十四松:小野大輔
トド松:入野自由
トト子:遠藤 綾
イヤミ:鈴村健一
チビ太:國立 幸
デカパン:上田燿司
ダヨーン:飛田展男
ハタ坊:斎藤桃子
おとうさん:井上和彦
おかあさん:くじら

公式HP:http://osomatsusan.com
Twitter:@osomatsu_PR



<文・東京03製作 藤咲茂、沼田理>
藤咲/美酒佳肴、マンガ、ガンダム、日本国と陸海空自衛隊をこよなく愛し、なんとなくそれらをメシのタネにふらふらと生きる編集ライター。
沼田/マンガにアニメ、ゲームやミリタリー系などサブカルネタを中心に、趣味と実益を兼ねた業務を行う編集ライター。

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