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『おひとりさま出産』第3巻 育児編 七尾ゆず 【日刊マンガガイド】

2016/06/18


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『おひとりさま出産』


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『おひとりさま出産』 第3巻 育児編
七尾ゆず 集英社クリエイティブ ¥620+税
(2016年5月25日発売)


アラフォーで売れない漫画家で、収入は200万アンダー……という状況ながら、年齢のリミットを迎える前に子どもが欲しい、と熱望した著者。家族になるには問題がありすぎる彼氏・ミウラさんに頼みこみ、非婚でひとり親の道を選ぶ決意をする。出産直前まで徹夜も辞さぬバイトづけでお金を貯め、ピンチを乗り越え無事出産、というのが前巻までのエピソード(エッセイなので実話)。
さて、いよいよ待望の我が娘との対面とあいなったが……?

産後は貯金の取り崩しがメインとなり、徹底した節約ライフが泣ける。

もう少しママが楽をできるシステムであるべきかもしれないが、苦しい状況でも、子どもを産み幸せにできる、と勇気づけられる。りりしい顔立ちの娘さんを描く筆先から、心から望んだ子を抱く喜びがあふれている。

子育てにおいて余裕のある経済力、イクメンのパパ、だれからも祝福される結婚などなど、全部が必須なわけではない。一方で、母であるために、自分の夢を捨てるべきか? も命題として見え隠れする。

しかしまあ、おめでたい「お食い初め」の席で、父親であるミウラさんから、さらにとんでもない告白がこぼれ出るとは。著者が「認知」をめぐり揺れるのも無理はない。
下手に結婚にこだわっていたら、このエッセイも不幸自慢の陰鬱なトーンになっていたかもしれない。
子どもの世話ができる母や友人など、女性の手があれば「父親」の存在価値なんて、遺伝子以外必要ないかも? などと、やや過激なフェミニズム風の解釈もできてしまう。

この母娘が幸せに暮らせるなら、日本の福祉や支援制度も決して捨てたものではない。
それを伝えるためにも売れてほしいが、印税がミウラさんの借金返済に使われず、現行どおり娘さんの養育費になりますように!



<文・和智永 妙>
『このマンガがすごい!』本誌やほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生にかかわる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。

単行本情報

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