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『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』 永田カビ 【日刊マンガガイド】

2016/07/07


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』


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『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』
永田カビ イースト・プレス ¥925+税
(2016年6月17日発売)


昨年、イラスト投稿サイト・pixivに投稿され、大きな反響を読んだエッセイマンガが単行本になって登場。
「レズ風俗レポ」という言葉の持つ吸引力はすさまじく、めくるめくピンクな世界を期待してしまいがちだが、残念ながらそういうお話ではございません。みなさんパンツを履きましょう。
エロくない風俗レポなんて……と思う方もいるかもしれないが、もしあなたが「生きづらさ」を感じているならば、ぜひこの作品を読んでほしい。

著者は高校卒業後の10年間、ずっと苦しい思いを抱えて生きてきたそうだ。心の病も患った。
どん底のなかで、
「自分を大切にしたい 自分の気持ちをわかるようになりたい…!!」
と願ったときに、気づくのだ。そうするためには、自分が本当にしたいことを知らなければならない、と。
そうして著者が選んだのが、28年ものあいだ心の奥底に追いやっていた性的なものへの興味、つまりレズ風俗を訪れることだったのだ。

そこ至るまでの経緯が、本作には事細かに描かれているのだが、著者が自分自身を見つめる眼差しがすさまじい。
悩みの根源や、本当に望むものについて考えるとき、だれもが主観的になってしまい、心の迷路に迷いこみがちだ。
しかしマンガというかたちをとったからなのか、著者の才能なのか、それともその両方か、驚くほど客観的に自分自身を描き、だれもが感じる生きづらさの輪郭をはっきりととらえている。
その過程で自身の心の病や、男性よりも女性の体に興奮すること、さらに母親に性欲にも似た感情を抱いたことなどが赤裸々に語られる。
自分のすべてをさらけ出してでもマンガを描くという気迫にも圧倒される。

本作には「生きづらさ」から解放されるための答えが描かれているわけではない。
しかし著者がいかにしてそこから解放され、自分自身に向きあえるようになったのかが詳細に描かれている。
あなた自身の「生きづらさ」の正体に気づくヒントにはなるはずだ。



<文・籠生堅太>
なんでも屋。イリーガルなお仕事以外は、だいたいなんでもやります。読むと元気になれるマンガが好きです。
Twitter:@kagoiki

単行本情報

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