365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

9月19日はヒル夫妻UFO誘拐事件が起きた日。本日読むべきマンガは……。

『ヨメがコレなもんで。』 第1巻
宮田紘次 KADOKAWA ￥620+税

9月19日は「ヒル夫妻UFO誘拐事件」があった日！
1961（昭和36）年9月19日深夜、バーニー・ヒルと、その妻のベティ・ヒルが車で移動中、突如現れた宇宙人によって円盤内に連れこまれ、生体実験を受けたとされる事件が発生。

ケネス・アーノルドが「空飛ぶ円盤」を目撃したのが1947年。その後も世界的にUFOの目撃情報が相次いでいたが、「ヒル夫妻UFO誘拐事件」は、世界初のアブダクション（UFOによる誘拐）事件となった。
そんな9月19日におススメしたいのが、宮田紘次『ヨメがコレなもんで。』だ！

真壁ノブオは平凡なサラリーマンの旦那様、奥様は専業主婦。2人はごく普通の恋愛をし、ごく普通に結婚した新婚夫婦でした。でも、ただひとつ違っていたのは、奥様は宇宙人だったのです――。
なんてどこかで聞いたようなナレーションが似合う『ヨメがコレなもんで。』は、ちょっと懐かしさを覚える設定の、SF仕立てのコメディ。キュートな宇宙ヨメとの、スイートでちょっぴりセクシーな日常生活が描かれる。

表紙にも描かれているとおり、ヨメちゃんの正体は毛先が触手で、腕部と脚部がウロコ風のスキンに覆われた宇宙人。
普段は人間の擬態スーツをかぶって生活している。人間の姿のヨメちゃんも充分かわいいが、素顔のヨメちゃんは吸いこまれるような黒目でいっそうかわいい。
頭の触手も感情表現に一役買っていて、あわてた時の乱れっぷりや、照れた時、旦那に甘える時のからませっぷりなど、ヨメちゃんの魅力をさらに輝かせている。しかも宇宙人は服を着る習慣がないので、家の中では基本全裸だ。

ちなみにヨメちゃんは作品中で名前が登場しない。
幼なじみの宇宙人友だちには固有名詞があったので、ヨメちゃんもきっと名前があるのだと思われるけど不明なままなのだ。

早くも1話の3本目では、2人にかわいい子ども・遊宙（あそら）が誕生。
公園デビューや、マンションの子どもにヨメちゃんの触手を見られちゃった話、地球征服のついでにノブオとヨメちゃんを狙う金星人姉弟の登場、時々やってくるノブオの母とのカルチャーギャップなど、日常ベースと、SF要素多めのエピソードがいい具合に描かれていく。

さかのぼることン年前の満月の晩、宇宙人の乗った円盤にさらわれ、あやうくインプラントされかけたノブオ。
捕らわれた円盤のなか、宝石のように輝く美しい瞳を見たノブオは、もうろうとしながら「結婚してください」と思わず求婚。ここから2人の交際が始まったのだ。

ヒル夫妻が出会った宇宙人は禿頭で、大きな目を持つ、いわゆる「グレイタイプ」とのちに呼ばれるものだった。
ノブオが出会ったヨメちゃんがグレイタイプじゃなくて、本当によかった！

＜文・秋山哲茂＞
フリーの編集・ライター。怪獣とマンガとSF好き。主な著書に『ウルトラ博物館』、『ドラえもん深読みガイド』（小学館）、『藤子・F・不二雄キャラクターズ Fグッズ大行進！』（徳間書店）など。構成を担当した『てんとう虫コミックスアニメ版 映画ドラえもん　新・のび太の日本誕生』が発売中。4コマ雑誌を読みながら風呂につかるのが喜びのチャンピオン紳士（見習い）。