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『ヨメがコレなもんで。』第2巻 宮田紘次 【日刊マンガガイド】

2015/10/13


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ヨメがコレなもんで。』


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『ヨメがコレなもんで。』第2巻
宮田紘次 KADOKAWA ¥620+税
(2015年9月14日発売)


せっかくの秀でたアイデアも出オチですべてということになってしまって、それ以上のおもしろさは見出せないというマンガも少なくない。
では、本作『ヨメがコレなもんで。』はどうか。「コレ」とはズバリ「宇宙人」。宇宙人と人間のカップルものは、これまでにもあったものの、それだけが終わらないのが、すごいところ。

本作のヒロインは、2足歩行の人間型ではあっても、ビジュアル的には普通の人間には見えない姿をしているのだ。耳も目も大きく(目からはビームが!)、髪は触手になっていて、しかも身体にはウロコのようなものまで生えている。ふだんは着ぐるみをかぶって人間の振りをしているが、その正体は見ようによっては不気味でもある。
ただ、これがかわいく見えてしまうのだ!

著者・宮田紘次のいい意味でのクセモノぶりは、並のマンガなら嫁はかわいいけれど中身は宇宙人と描くところで、かわいくない宇宙人だけれどかわいらしい(しかも艶めかしい!)という領域まで持っていっている点。
アイデアだけに逃げないどころか、アイデアに直球でがっつり挑んで、その特徴ある絵柄のキャラクターと物語でも十二分に見せてくれる。
思えば、同著者の『犬神姫にくちづけ』も、ある種、大胆な設定のもとで展開される、アンバランスなのにぴったりなカップルの話でもある。このあたり、作者はお手の物!

お話としては、SFが絡む日常話ということになるが、キャラクターが生き生き動いているのが魅力的。
完結となる第2巻では、夫婦に愛娘・遊宙(あそら)が生まれていて、さらに家族らしい……ただし、人間と宇宙人の家族らしい、変わり種ではあっても普遍的な家族のエピソードが展開されていく。

笑おうと思ったら泣かされもして、かわいらしいと思っていたらエロかったりもする。
いずれにしても、アイデアだけにとどまらない作品。これで終わりなのがもったいない!



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が発売中。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。

単行本情報

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